少子化を解消する薬?

三国洋田

第1話 これが少子化対策!?

「マズいっす、マズすぎるっすよ! このままじゃあ、少子化で国が滅ぶっすよ! 大臣、なんとかするっす!!」


「王様、もう無理でござんすよ。諦めて増税するでござんす」


「なんで増税になるんすか!?」


「え~、とりあえずでござんすかね?」


「とりあえずで増税すんなっす!!」


「じゃあ、もういっそのこと、税金をなしにするでござんす!」


「やけになるなっす!!」


「では、あとは若い者に任せて、私はFIREするでござんす!」


「ひどすぎるっすよ!?」



「なら、奥の手を使うでござんす!」


「奥の手っすか!? それはなんすか!?」


「夜逃げでござんす!!」


「そんなのダメに決まっているっすよ!!」


「ならば、最終奥義『昼逃げ』をするしかないでござんす!!」


「却下っす!!」



「王様、できたでごわすよ!!」


「何ができたんすか、所長?」


「もちろん、少子化をどうにかするものでごわすよ!!」


「な、なんだってっす!? どんなものができたんすか!?」


「これでごわす!」


「なんなんすか、その黒い錠剤は!?」


「これは『色狂いろぐるやく』でごわす!」


「い、色狂いっすか!?」


「確かにそれならどうにかなりそうでござんすが、倫理的に問題ありそうでござんすね」


「倫理でごわすか? なんの問題もないと思うでごわすよ?」


「いやいやいや、問題大ありっすよ! 犯罪が多発しそうっす!!」


「支持率急落、間違いなしでござんすね」


「そんなことにはならないと思うでごわすよ」


「いやいや、なるっすよ!」


「ならないでごわすよ」


「なぜそう言い切れるんすか!?」


「これは体の色が変化するだけの薬だからでごわすよ」


「えええええええええええっ!? それだけの薬なんすか!?」


「そうでごわすよ」



「なぜその薬を作ったでござんすか?」


「若者たちに『なぜ生殖活動をしないのか』というアンケートを実施したでごわす。その結果『なんかそんな気分にならないから』という回答が多かったでごわす。だからでごわす」


「なんでその結果で、体の色を変える薬を作るになるんすか!?」


「色が変われば、気分も変わるはずでごわす」


「ええ…… そんなものなんすか?」


「そんなものでごわすよ」


「訳が分からなさすぎるっす……」



「分からないでごわすか? なら、使ってみるでごわす」


「それもそうっすね。じゃあ、大臣、使ってみるっす」


「えっ、嫌でござんすよ。大臣その二、使ってみるでござんす」

「えっ、嫌でごじゃんすよ。大臣その三、使ってみるでごじゃんす」

「えっ、嫌でごびゃんすよ。大臣その四、使ってみるでごびゃんす」

「えっ、嫌でごびょんすよ。大臣その五、使ってみるでごびょんす」

「えっ、嫌でごびゅんすよ。大臣、使ってみるでごびゅんす」

「えっ、嫌でござんすよ。大臣その二、使ってみるでござんす」

「えっ、嫌でごじゃんすよ。大臣その三、使ってみるでごじゃんす」


「ひどいたらい回しを見たっす」



「もういいっす! 騎士団長、使ってみるっす!!」


「えっ、嫌でゴヴァンスよ。副団長、使ってみるでゴヴァンス」

「えっ、嫌でゴヴィンスよ。副副団長、使ってみるでゴヴィンス」

「えっ、嫌でゴヴンスよ。副副副団長、使ってみるでゴヴンス」

「えっ、嫌でゴヴェンスよ。副副副副団長、使ってみるでゴヴェンス」

「えっ、嫌でゴヴォンスよ。副副副副副団長、使ってみるでゴヴォンス」

「えっ、嫌でゴヴァヴァンスよ。副副副副副副団長、使ってみるでゴヴァヴァンス」

「えっ、嫌でゴヴィヴィンスよ。副副副副副副副団長、使ってみるでゴヴィヴィンス」


「『副』多すぎじゃないっすか?」



「もういいっす! そこのメイド、使ってみるっす!!」


「え~、あーしッスかぁ? しょうがないッスねぇ。どうやって使うんスかぁ?」


「この錠剤を額の真ん中に貼り付ければ良いでごわす」


「分かったッスよぉ」


「それ、飲むものじゃないんすか!?」


「違うでごわすよ。貼り付けるものでごわす」


「そ、そうなんすか……」



「じゃあ、使うッスよぉ」


「おおっ、確かに色が変わったっす!」


「全身キレイな虹色でござんすね」



「ああ、なんだか生殖活動がしたくなってきたッスよぉ」


「ええっ!? なんでなんすか!?」


「理由は分からないッスけど、なんかそんな気分ッスよぉ」


「ええ…… 意味が分からなさすぎるっす……」



「これで効果が証明されたでごわすね。では、王様、この薬を国民に配るでごわすよ」


「好きにするっす」


「分かったでごわす。では、失礼するでごわす」



 二年後。


「王様、なんか少子化が解消したでござんすよ」


「そうっすか。良かったっすね。なんか疲れたから、退位するっす」


「じゃあ、私もFIREするでござんす」


「じゃあ、せっかくなので、私もでごじゃんす」

「なら、ついでに私もでごびゃんす」

「お前たちにばかり良い格好はさせないでごびょんすよ。私もするでごびょんす」

「なら、私もでごびゅんす」

「ふっ、ならば、私もするとしようでごじゅんす」

「やむを得ん、私もするとしようでごじょんす」


「最後のふたり、誰っすか?」


「不明でござんす」


 めでたしめでたし。


 おしまい。

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少子化を解消する薬? 三国洋田 @mikuni_youta

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