心が浮いた

心が浮いた

心が浮く。楽しい体験をした時によく聞く言葉だ。けど僕は、そんな気持ちではいられなかった。頭がぼーっとしていた。聞かされた現実は突拍子もない事で、タチの悪い冗談である事を願ってしまうほど受け入れ難い物だった。そして、その現実を理解はできた。何が起こったのかも分かった。ただ、心が浮いた。そのせいで、どうしたらいいのか分からなくなった。泣けばいいのか、怒ればいいのか、笑えばいいのか、どうすれば良いのか分からなくなった。現実を受け入れられないんじゃない。信じられないわけでもない。ただ、どうすれば良いのかが分からなかった。そうしていても時間は過ぎて行った。ただ、心もずっと浮いているわけじゃなかった。浮力を失って徐々に徐々に僕の元へと戻って行った。そしたら、どうしてたら良いかなんて考えることも出来なかった。ただ、現実を否定する事しか出来なかった。これは、きっと悪い夢なんだ。長すぎる明晰夢なんだ。そうだ、そうだ。眠っているのは僕の方だ。