KAC20247 色が揺蕩う世界
久遠 れんり
世界が変わった日
ある日廊下を歩いていて、何もない平らなところで躓いて転ろび頭を打った。
「大丈夫?」
そう言って、手を差し伸べたのは、同級生の女の子、
俺は、
彼女の手を掴み、引かれながら立ち上がる。
その時に、彼女の体の周りに光が見えた。
ピンクの色が、少し赤へ。
「ありがとう」
そう言って、ニコッと笑うと、さらに赤くなる。
「大丈夫なら良かった」
そう言って、彼女は廊下を走っていくが、輪郭は赤いまま。
そのまま廊下に立ち、観察をする。
かといって、じろじろ見れば怪しい奴なので、ぼやっと外を見ている感じで流す。
人により色々で、同じ赤でも明るい赤から暗い赤まで存在するようだ。
そう黒い赤を纏っているのは、素行が悪い奴。
興味が無いと文字通りブルーなのか、授業中はブルーが多い。
「ブルーと赤。そしてブラウンはなんだ?」
色が色々見えても、意味が分からない。
そんな事が、わかりだした数日後。
全身が黄色に光る陸上部が、外へ走り出ていくのが見えた。
ただ、その後を、赤黒い色を纏った三人がたらたらと追いかけていく。
学校から出て行くときには一塊だが、帰りは能力順。
何キロ走るか知らないが、疲れ切ったところで奴らが悪さをするなら女の子は逃げられない。
そう思った俺は、クラスに残っていた男を集める。
事情を話し、さっきの三人を探す。
赤黒く光っているからすぐわかった。
橋の下で隠れ。引っ張り込むつもりなのか、コンクリートの床に段ボールを敷いて堤防を見張っていた。
「いた。あいつらだ。橋の下」
すると向こうから、へろへろになった女の子が、オレンジ色になって必死で走ってくる。
俺達は叫ぶ。
「がんばれー。後もう少しだぁー」
この時、奴らが、橋の下でどんな顔をしていたのかは知らない。
だが、出てこなかったのは確かだ。
その後、陸上の先生に、事情を説明をする。
外で練習をするときには、幾人か伴走を付けろみたいなことを提案をした。
そして、しばらくそいつらが、何かをする予定を立てるたびに動きを先生に教える。
普段は、茶色ぽいのに、たまに赤黒くなるからわかりやすい。
そんなある日、学内で、奴らが女子を追いかけていたのを発見する。
追いかけていたのは、同じクラスの江西さん。
職員室に行くか?
いや間に合わん。
仕方が無いので、全方位協力依頼。
「飢竹達が女の子を追いかけている。助けてくれ」
通りすがりに、頼んでいく。
「えっ」とか「何?」とか言いながら、幾人かが付いてきてくれる。
江西さんは体育倉庫へ、ゼッケンを返しに行っていたようだ。
追いかけていくと、彼女を用具準備室に押し込んだのが見えた。
話しかけていた分だけ遅れた。中から叫び声が聞こえる。
「おらぁ、中で何をやっている」
いきなり叫びドアを開けようとするが、開かない。
幾人かが、先生を探しに行く。
「いや……」
そんな声が聞こえた瞬間、俺の中で何かが起こった。
金色の光が体から放出され、鍵の掛かっている用具室のドアが開いた。
それは、非常識。
スパーンと、何かの漫画のように開き。
俺は用具室の中を見る。
二人に押さえつけられ、下着を脱がされそうになっている江西さん。
つかつかと、飢竹の襟首を掴み、引っ張る。
すると体育館の床を、クルクル回転しながら反対側の壁まで滑っていった。
もう二人も掴んで、床を滑らせる。
「大丈夫?」
そう言って、江西さんに手を差し出すが、俺の腕は出した力に耐えられず折れたようだ。
「きゃあ」
再び絶叫が響き渡る。
それ以後、奴らは退学になったようで、流石に悪質だから警察も入ったとか。
俺は、両手が使えず、江西さんにお世話になっている。
色々と……
色言葉なるものがあります。
赤は情熱と危険とか愛とか勇気、相反する物が入り乱れです。
まあ、方向性は同じなのでしょうか? 調べてみると、面白いかもです。
KAC20247 色が揺蕩う世界 久遠 れんり @recmiya
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