色 【KAC20247】
KKモントレイユ
第1話 色 【KAC20247】
人間の目で見ることのできる電磁波を『可視光』といい『色』として認識できる波長の範囲はおよそ380nm(ナノメートル)~780nmといわれている。
この範囲を可視光領域といい380nm付近が『紫』780nm付近が『赤』その外に紫外線、赤外線という不可視領域がある。
放課後、二人だけの教室でマリと
「ねえ、葉山。人には認識できる色と認識できない色があるんだよ。もっと言うと、ある人には認識できるけど、ある人には認識できない色があるんだって。たとえば赤い色をいくつか見せると、ある人は『全部赤だ』という。ある人は『全部違う赤だ』という」
「なんか聞いたことある」
マリが話し始める。
「話はここからなの。今、あなたの前に生き物がいる。その生き物は、こっちの様子を窺っていて、いつ襲いかかってくるかわからないの。あなたは『何もいない』と言うかもしれないけど、私には見えてるの。そう言われたら、あなたはどうする?」
「そうね、私には見えていないから、どうすることもできないわね」
「じゃあ、どうする?」
「そうね。そんな、恐ろしい生き物が目の前にいるのなら、覚悟を決めるしかないわね。どうしたらいいのかもわからないし、どこへ逃げたらいいのかもわからないから」
「フフ、そうね。もし、そんな生き物がいたら、どうしようもないわよね。ちょっとした暇つぶしの冗談よ」
教室を出て行こうとしたマリは何かにぶつかったようによろめいた。
「キャッ! なに?」
きょろきょろと辺りを見回すマリ。
葉山が胸の前で指を絡めるようにして手を結び何かを口ずさみながら近づいてきた。そして、マリの前に立ち手刀を振りかざすようにして呪文のようなものを唱えた。
その瞬間、二人の周りの机やイスが倒れ、窓がバンと開いて何かが飛び出していった。
腰を抜かすようにその場に崩れるマリ。
「な、なに。なんなの」
葉山が微笑みながら言う。
「なんだ、見えてなかったの」
色 【KAC20247】 KKモントレイユ @kkworld1983
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます