【短編1216文字】【KAC20247】フェアリーたちの色遊び

南都那氏(なんとなし) ニート風味

第1話 色探しゲーム


「○○くん! ひまだよ~」

 まわりに飛び回っている平均身長31.58センチ(人間換算157.9センチ)平均体重424グラム(人間換算53キログラム)のフェアリー108匹の中の、1匹のフェアリーが言い出した。


「○○さま♡ フェアリーたちの健やかなすこやかな成長のために、何か遊びを教えてあげてはいかがでしょう?」

 専属メイドロボのイブさんが、提案ていあんしてくる。


「じゃあ、色探しゲームなんてどうだろう? 進行役がその近くにある色の中から1つの色を宣言せんげんして、みんなでその色にさわる。その色にさわったのが1番早かった子が、次の進行役として次の色を宣言せんげんすると言う遊び何だけど?」


「いいね! みんなでやってみる!」


「色にさわった子は、『さわった!』って宣言せんげんしてね? イブさんは、審判お願いします」


「はい! まずは、監視カメラを設置してもよろしいでしょうか?」



 30分後。

「赤!」

 フェアリーたちが一斉いっせいに、ラノベの背表紙に群がる。

「「「「「さわった!」」」」」

「はい! 今回はヤエヤマムラサキの羽の方が1番早かったです! 今回で2度目ですね!」

「うん……」


「どうかした?」

「簡単すぎて、面白くないかも?」


「じゃあ、ルール追加する?」

「どんなルール?」


「なぜかみんな部屋にある物の色をさわりに行ってたけど、こんどはフェアリーたちの羽と服限定げんていでやってみようか?」

「何か違うの?」


「まあ、やってみて」


「白!」

 と宣言せんげんされた瞬間、白い色の服を着ていたフェアリーたちの服の色がそれ以外のさまざまな色に変化した。

 だが羽の色は変えられないのか、羽に白色があるフェアリーたちはまわりに近よらせないように他の白色の羽をねらって飛んで行く。


 モンシロチョウの羽を持つフェアリーが多数のフェアリーたちに追いかけられながら、ウラクロシジミの羽を持つフェアリーを追いかける。


 そのウラクロシジミの羽を持つフェアリーも、モンシロチョウの羽を持つフェアリーの背中を取ろうと大回りして追いかける。


 その姿は蚊柱かばしらならぬ蝶柱ちょうばしら、いやフェアリーばしらか。


 すごい密度の中で、フェアリーたちが飛び交っている。



 10分後。

「さわった!」

 モンシロチョウの羽を持つフェアリーが、宣言せんげんする!


 最後はアゲハチョウの羽を持つフェアリーをフェイント合戦でぬいた所を背後に来ていたウラクロシジミの羽を持つフェアリーの背後に、背面逆宙返りでとりつき『さわった!』と宣言せんげんした。


「どう? 簡単?」

「「「「「「「簡単じゃないよ!!!」」」」」」」

「そう! よかったね!」

「よかったよ? よかったけど! 長時間は遊べないから! 他の遊びも教えて!」

 よく見るとフェアリーたちは全員、肩で息をしている。


「○○さま♡ こんなこともあろうかと、オイルパステルを108セット用意しております♡」

「ええ? いいの? ラクガキだらけになるよ?」

「はい♡ フェアリーの成長に必要だろうと、会議で承認しょうにんされております♡」


「うわ~~~」


 僕の部屋と惑星開拓宇宙船わくせいかいたくうちゅうせんノア内がどうなったかは、言うまでもないだろう……。

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