アレの色が見える....。え?泊まり?それ、お前、大丈夫?
香 祐馬
第1話
俺の名前は、田中瑛二。理系の大学2年目の学生である。
1年の時は、講義が被る人が少なかったり、昼の時間が合わなかったりで、なかなか友達が安定しなかったが、2年にもなると、仲がいいやつらで一緒の講義を取る約束をしたりして、いつも一緒に過ごす固定のグループができた。
俺のグループは、6人くらいで落ち着いた。
その中でも、テニスサークルに入ってるグループと、サークルに入ってないグループで、さらに親密度が違った。
俺は、サークルに入ってないグループで、もっぱら講義後はバイトしている。
ほどほどに見た目が良かったらしく、イケメンが多いと言われるカフェで働いている。
時給がいいのだ。俺をこんなふうに産んでくれた両親に感謝だ。ありがとう。
そしてサークルに入ってないメンバーは、俺の他にはもう一人。
だが、こいつはバイトをしていない。
親が金持ちらしい。
働かなくても、お小遣いが俺の月の給料より多い。
名前もなんだかお金持ちっぽく、神宮寺誠と言う。
俺の苗字の『田中』と比べてみてくれ。
ジングウジ!5文字だ!
漢字に直しても3文字!...格が違うぜ...。
そんな神宮寺は、放課後は暇だからと言って、俺のカフェに客として通う。
暇な時は、一緒に喋ったりできる。そういうところは、ユルユルな職場だ。
ちなみに、この神宮寺が窓際に座っていると女性客が増える。
なぜならコイツは、どこの芸能人かってくらい足が長いし、顔がイケメンだ。なんなら発光しているんじゃないかと思うくらいレベルが違う。
俺の雰囲気イケメンとは天と地ほどの違いがある。
だが、バイトメンバーのどの男よりも、神宮寺はかっこいいから仕方がないことだ。僻みようもない。
頭もいいし、顔もいい、体格も男らしくて格好がいい、家も金持ちでバックグラウンドもいい。
こんなハイスペックで、短所なんかないんじゃないかと羨ましくなるだろう?
だが、俺はそんなことは思ったことがない。
コイツは、どえらい大変な短所を抱えているのだ。
実は、俺は、小さな時から人が抱えるオーラ?みたいなのが見えていた。
ただ、必ず見えるかと言うと、そうでは無かった。オーラが見える人と見えない人が、いた。
しかも見えてた人も、次の日会うとオーラが消えてたりして、不思議に思っていた。
ちなみに、かなり小さい時に、オーラが見えてるのは俺だけだと理解した。
両親に諭されたからだ。だから、友達から変な子扱いをされることは無かった。
それからは、オーラのことは、自分の中だけで消化していた。
ただ、この色はなんだろう?と、いつも気になってはいた。
小学生の時は、友達の誰一人としてオーラがなかった。大体、オーラがあるのは大人だったから。
しかし、小5くらいになるとたまーにオーラ有りの友達が現れて、俺の頭はハテナに埋め尽くされた。
そんなハテナも、俺が小6の時には、なくなった。
そう...俺が精通を迎えたことで理解したのだ。
なんてことはない。このオーラは、前日にナニから白いもんが出た人が背負っていたのだ。
精通があった翌朝、鏡には薄ピンク色のオーラを背負った自分がいて唖然とした。
それからは、なんだかニヤニヤ面白がってしまった。
「あ、コイツ昨日精通したんだな!パンツ洗ったんだ。」とオーラが初めて見えた友達を生暖かい目で見てしまう。
まぁ、そのうち精通だけの色じゃなくなっていくわけで、そうなるとちょっと事情が変わる。
体が大人に近づくにつれて、性欲が湧いてくると回数も増える。ナニから白いもんが出る回数がな。
男子高生なんて、性欲の塊、猿だ。
まぁ、そんなわけで、見える奴みーんな色付きだ。
中には、性欲過多のやつもいた。毎回、1回で済まないようなやつだ。
そんなやつは、ピンクどころかオーラは赤だった。
さぞかし立派なモノがついてるんだろうって、一人納得している。
ちなみに彼女がいる男なんて、デートの次の日の色で、いちゃつき度が丸わかりになる。
相手の女の子なんか知っていたらもう居た堪れない。
ダチのセックス事情なんて知りたくない...。
ちなみに女性もわかる。
カップルが歩いていると、二人とも色付きだ。男性が、薄ピンクだと1回戦で終わったのかとか想像できるが、横の女性が赤だと....。
セクハラになるけど、敏感体質なんだなとか想像してしまう。
俺も、健全な男子なので、そんな彼女を見ると、羨ましいと思ってしまう!エロい女子、大歓迎だ!!
そんな俺なので、友達の性事情も丸わかり。
そして、神宮寺を羨ましく僻むことがない理由がこれ。
神宮寺のオーラは....。
赤を通りこして、ギラギラ燃えてる。
それも毎日だ。
出会った時は、まあこれだけ整ってるやつならヤリチンでも仕方ないかぁ...て思ってたが、人となりを知ると同情に変わった。
女っけが全くない誠実な男だと知ると、この色は毎日の自家発電の数になる...。
不憫だ。無駄に死んでいくおたまじゃくしも不憫だが、神宮寺の右手の疲労度とか睡眠不足だとか考えると、不憫だ。
もう体質なんだろう...。俺の淡白な性欲事情でも面倒くさいなって思ってるのに、コイツは出しても出しても治らないなんて、可哀想である。涙が禁じ得ない。
彼女も今はいないみたいだし...。
なぜわかるかというと、俺がバイトの時は俺の職場で勉強したり本を読んでるし、俺が暇な時は一緒に遊ぶ。
彼女が食い込むスキマがないのだ。
たとえ、彼女がいたとしても...絶倫すぎてフラレそうだ。
そんな神宮寺からある時、旅行に行こうと言われた。
テニスサークルで忙しい奴らも、イエーイとハイタッチして盛り上がってる。
旅館は、神宮寺の家の持ち物だから、実質タダって大盛り上がりだった。
しかし、いまいちノリ切れないのが俺...。
そんな俺に気がついた神宮寺は、声をかける。
「瑛二。なんだ、お前?行きたくないのか?」
神宮寺が、俺の顔を覗き込んで聞いてくるが、俺は、今現在、お前が背負う燃える赤色に釘付けだ。
「いや、行きたいよ。でも...。」
「なんだよ。何か気になるのか?」
「あー、うん。気になると言えばきになって、..るかな。」
端切れ悪く、モゴモゴとしてしまう。
だって、お前、大丈夫なのか??
「ちなみにさ、部屋割りは??」
一縷の望みをかけて聞いてみる。
神宮寺は是非とも一人部屋でお願いしたい。
「ツイン3つでいいだろ。テニス組はそっちで、ペア決めてくれ。」
えっ?と驚愕する俺。なに?俺とお前、同室決定??
待ってくれ、テニス組!俺もそっちと組み決めしたい。
待ってっと声をかけようと手を伸ばしたが、すでにグーパーで組が決定してしまった。
対応が早い!涙が出そうだよ...。
「決まったか?じゃあ、それで。」
「じ、神宮寺っ!お前、本当っにいいのか?」
俺は、慌てて神宮寺に言い募る。
お前が、夜、性欲を持て余したらどうするんだ!?
俺が寝ている横で、粛々とマスはかかないよな??男のふーふーいうようなサイレントウィスプをBGMにして寝たくないぞ!
それこそ抜きあいなんてしないぞ?
トイレにずっと篭られても困るぞ?
こんな心の声は、言えもしないので、懇願する目しか向けられない。
「なんだよ〜。瑛二。
そんな顔して、俺と一緒の部屋じゃない方がいいのか?
俺と瑛二の仲じゃないか。お前のイビキがたとえ酷くても俺は、気にしないぞ。」
違うっ!!俺はイビキはかかない!
ブンブンと首を振り、そうじゃないと否定する。
「ひ、一人の方が...落ち着かないか?」
「いや?せっかく旅行なんだから、一人は嫌だろ?」
「だよなぁ...。俺もそう思う。
ハハハ!旅行っ、楽しみだなっ!!」
もうヤケクソだ!
なるようになれぇぇ!!
後日、旅館で酒盛り中に、神宮寺は笑いながらカミングアウトをした。
「俺、絶倫なんだよねぇ〜。毎日、寝る前に1時間以上かかるんだぜ。ほんと寝不足でさー。」
おぉいっ!そんな軽く言えるような色じゃねぇぞ!その辺歩いてる人間と段違いの色してるかんなっ!
俺は、ギョッと神宮寺を見るが、ほかの奴らは、まさか〜!と大笑い。
笑えねぇよっ!俺知ってるから!
でも、その場のノリには合わせて一応乾いた笑いをしといた。これから一緒に寝るのに、気まずくなるからな!
あぁ...今日は俺無事に寝れるんだろうか?
ここで寝ずに1夜を明かすことは可能だろうか。
だって、横であぐらをかいて座ってる神宮寺のナニが、もうすでにデカくなってるんだぜ??
どんなリアクションが正解なのか、誰か教えてくれませんか?
アレの色が見える....。え?泊まり?それ、お前、大丈夫? 香 祐馬 @tsubametobu
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