ハムとインコは別の世界に住んでるの

幸まる

アウトオブ眼中

アタシ、ハムスター。

ジャンガリアンハムスターのハムちょん。

今はねぇ、眠くてふわふわのお布団に包まっているところ。


「ハムちょ〜ん、おはよう〜」


呑気に呼んでケージを開けたのは、アタシの飼いぬしの女の子。

小学生なんだって。

……小学生って、何なのかよく知らないけど、今日は祭日でお休みだとかで、こんな明るい時に呼ばれちゃった。


飼いぬし〜、アタシ眠いよ〜。


でもがんばって顔を出すわよ。

だって、ここで顔を出すと、美味しいひまわりの種もらえちゃったりするんだもん。


飼いぬし〜、ちょ~だい♡


「ハムちょん、ちょっとオカメさんに会いに行こっか!」


あれ?

飼いぬしはひまわりの種をくれるんじゃなくて、アタシを抱き上げて移動し始めちゃった。

んも~、眠いのに。

我が家には、飼いぬしのお母さんが可愛がってる、オカメインコのオカメさんっていう鳥がいるんだよね。

飼いぬしはオカメさんのことを、アタシの先輩だって言って、こうやって時々会わせようとするの。


……でも、会えたことなんて二回か三回くらいよ?




飼いぬしの手の中はほんわか温かくて、アタシ、いつの間にかウトウトしちゃってた。


「オカメさん、お仲間のハムちょんだよ!」

ビョーッ!!


……ん?

なんか変な声がして目を開けるけど、目の前には苦笑いしたお母さんがいるだけ。


飼いぬし〜、オカメさん、やっぱりいないじゃん。


そう思っているアタシを、飼いぬしはテーブルの上に降ろしたわ。

ひろ〜い。

探検、探検!

シャカシャカ走ると、細いものを発見!

これって確か、爪楊枝つまようじっていうんだっけ? ※

細くて噛り応えがあまりないのよね。

ガリガリ噛じると、すぐボロボロになっちゃった。


……まあいいや。

ポイ。


またシャカシャカ走ると、大きな洗濯バサミに挟まった青菜を発見!

シャクシャク。

う~ん、たまには新鮮な青菜もいいわね。

アタシとしてはリンゴの方がいいけど。


……まあいいや。

ポイ。


またまたシャカシャカ走って、テーブルの端まで行ったわ。

走っている内に身体が温まって来たみたい。


よ~し、ここからジャンプよ!

え~い!


ピョーン!


あ!

残念、飼いぬしにキャッチされちゃった。

あら?

もうお家に帰るの?

待って、待って、あそこのアスレチックみたいな所に、美味しいおやつがあるの知ってるんだから! ※

飼いぬし〜、あれちょうだい。


飼いぬしはちゃ〜んと気付いて、そこの入れ物からかぼちゃの種を取ってくれたわ。

やった〜。

美味しいものゲットよ♡



アタシはかぼちゃの種を頬袋に大事に仕舞う。

お家に帰ったら食べよ〜っと。


………あれ?

飼いぬし〜。

そういえば、結局今日も、じまいだったね。

まあいいや。




○ ○ ○




……ぶるぶるぶる。

ワ、ワタシ、オカメインコのオカメさん。

今ね、弾丸怪獣ハムスターがやって来たの。

時々やって来て、ワタシの大事な場所を荒らしていくのよ…。


おかあしゃんはワタシを指に乗せて、慰めるみたいに頭を撫でてくれる。


お、おかあしゃん、怖かったよぅ…。


スリスリして、いっぱい甘えて、やっと落ち着いたわ。

ふぅ。

じゃあ青菜食べようかな……、っ!?


あああっ!

ワタシの青菜がっ!

ワタシの爪楊枝がぁっ!

アイツいやだー、おかあしゃーんっっ!!




《 おしまい 》



※ 爪楊枝は、オカメさんのお気に入りのおもちゃ。アスレチックみたいな所は、オカメさんのおやつ場です!


我が家のオカメインコとハムスターは相容れない、というお話でした〜。

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ハムとインコは別の世界に住んでるの 幸まる @karamitu

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