そちとら

今生きているお前の人生も、もしかしたら違う誰かの人生なのかもしれないよ。なぁ、お前。この本を読んでいるそこのお前。お前だよ。急に話しかけてきてびっくりしているかもしれないが、最初の一人目から三人目といきなり殺されて驚いただろ?

実は最初から視点がそいつの人生じゃない。全部俺ら目線の話だ。一人目の証券会社の男も、二人目の銀行員も全部、そいつの人生のように恰も描いていたが、全部俺らの目線の話だ。

読み返したら、不可解な所がいくつかあるのに気づくはずだ。

まず、一人目の話では中華料理屋「華中」に入った所だ。「華中」に入ったと書いてあるのに、外の看板前で財布を確認するシーンになる。これは俺たちが尾行していたから、彼は店に入ったにもかかわらず、外にいるという不可解なことが起こっている。

もう一つは、三人目の政治家の話だ。『急に外出することがあるので計画的に行動をするのはやめた方が良い。』ここだなぁ。前の文とは違ってメモ書きみたいになっているだろ。

これは犯行前の調査だからこういう書き方をしている。

もっと詳しく刑事が紐解いてくれる。

                       続編「こちと そら」につづく


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こちと とら 串サカナ @kkawa3128

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