第3話

後日談というかオチもなにもない。


雉という鳥が死に、「もう、鳥、会えず」という展開を期待していた皆様には申し訳ないが、私はその後助かってしまった。

私が意識を失った後、葛籠の中から這い出た混沌は、いとも簡単に家の侵入者を駆逐し、ものの5秒で撃退した。


その後私の胸に空いた穴は、鶴が縫ってくれたおかげで、死の間際まではいったがギリギリ命を繋ぐまでには留まった。

裁縫は昔から得意だったのだというのが彼女の言である。


鶏は

「いやスマン。本当にスマンでもあんな大きな声を出して一際目立った雉もあっ悪いすまない申し訳ない」

と平謝りをしに来た。

正直怒る元気もなく、適当に追い返したが、今度何か相応の対価をいただいてやろうかとぼんやりと思った。


鶴はといえば

「皆さんのおかげで恩人に『命を救う』という恩を返すことが出来ましたわ」

と上機嫌で報告をしに来た。

あの爺さんは、結局少々の養生で復活したらしい。むしろ助けに来た私の方が重傷という事態である。納得がいかない。

これからどうするのかと聞くと鶴は

「えぇ、まあしばらくはここら辺にいますわ。恩人に恩は返せましたけど、今度は皆さんに恩が出来てしまいましたからね。この恩を今度は返すことにいたしますわ」

と言っていた。さっさと北の国に帰ってくれ。


そして今回の功労者である雀は

「いやぁ、あれを開けたのは久しくてねぇ。出したはいいが仕舞うのに手こずってしまって、あの家の畳を少々傷めてしまったんだ。申し訳ない気持ちでいっぱいだよ」

と反省会を開いていた。俺の胸に空いた穴のことは反省しなくていいのか?


そんなこんなで、ことこの鶴の恩返しについては、畳の傷みと私の胸の穴という代償を支払い、解決した。

以上を以てトリとしたい。

取り敢えずは。

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鳥鳥鳥鳥 @mukimukihinanan

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