トリまち

タカナシ

トリ、カクヨムであえるってよ。

 とりあえず結論から言おう。

 僕はトリ様に会うことはできなかった……。


             ※


 僕の名前は小鳥遊しょうちょうゆう。しがないカクヨムユーザーだ。

 小説サイトのカクヨムユーザーとはいえ、読むの専門。書くなんてとんでもない。

 もともと小説が好きだったこともあって登録したけど、一番の登録の決め手はカクヨムのマスコットキャラクターのトリ。最初から名前はなくて、ひたすらにトリしか名乗らず、とうとう名前もトリになってしまったクールなキャラだ!

 その性格とは裏腹な、まんまるなワガママボディに僕は一目惚れしてしまったのだ。

 もうすぐさまカクヨムに登録!

 そのトリとユーザーさんのマシュマロというSNSを介したやりとりなんかも楽しく見ていた。


 そのうち、トリのグッズが出るようになったんだけど、だいたいが小説を書いた人に対して、抽選で当るような感じだった。


「……小説かぁ。僕も書ければ応募するんだけど」

 

 そんな程度だったんだけど、ある日、トリのグッズにとうとう、ぬいぐるみが出た。

 KAC企画という短編を書くと抽選でもらえるという。


 これはやるしかないと思った。けど、初心者の僕が書いた作品でも大丈夫なのか?  不安は常に付きまとったけれど、なんとか短編を書きあげる。


 が、落選。


 これだけ可愛いトリのぬいぐるみ、そりゃあ、倍率もやばいことになっていたよ。

 そりゃ、トリだもん。


 それからも、カクヨムさんはたまにではあるけれど、トリのぬいぐるみが当たる企画を出してくれた。

 だけど、運がないのか、実力がないのか。僕のもとに訪れることはなかった。


「お金ならいくらでも出すのに……」


 そんな僕の想いを裏切るように公式から、グッズ販売の報は一向になかった。


 会えない思いは次第に自分でも歪んでいると分かるほど、歪曲していった。


「トリ様を崇めよっ!! トリっ! トリっ! トリっ!!」


 トリ様が好きなユーザーが増えればグッズ展開も増え、もしかしたらお金で解決購入できるようになるかもしれないと思い、カクヨムで人気ジャンルであるエッセイを駆使し、トリ様の良さを皆に広めた。


 カクヨムというサイトのユーザーは優しい人が多く、さらに優しい人は可愛いもの、丸いものに弱いことから、トリ様の人気は一気に膨れ上がった。

 トリのぬいぐるみの当たる個数も増え、これで僕の元にも届くだろうと思って、意気揚々と短編の企画に参加した。


 が、落選。


「なぜだっ!! こんなにトリ様を思っているのにっ!! なぜ、会えないっ! もっと、もっとだ。トリ様の良さだけでなく、カクヨムユーザーを増やせば、ぬいぐるみの個数も増えるはず。いや、購入できるようにすらなるかも!」


 僕はそんな根拠のない思いから、カクヨムの代表コンテスト、カクヨムコンを盛り上げ、他の小説サイトからの流入を促した。


 僕の尽力なんか、結局カクヨムの素晴らしさの前では、雀の涙程度だったかもしれないが、結果、カクヨムは小説サイトのシェア第2位にまで登り詰めた!!


 だが、そうなったとたん、トリ様のぬいぐるみの抽選がほとんど行われなくなり、ブックカバーやノートなんかは今まで通りあったのだけど、ぬいぐるみだけが無くなり、代わりにギフトカードとかになってしまった。


「くっ、もしかすると人が多くなりすぎて、賞品数を稼ぐのに逆にぬいぐるみはコストが掛かり過ぎるから敬遠されてしまったのか?」


 またしても、僕はトリ様に会えることはなかった。


 失意の中、それでもカクヨムコンを盛り上げようと努力したりは惰性の中、続けていた。

 そんなある日。


 カクヨム生誕祭! KAC2024 ~カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ 2024~の賞品にトリ様のカード、さらに皆勤賞の人から抽選でトリ様のぬいぐるみがっ!!


 これはやるしかないっ!!


 どうか、神様、トリ様、僕をトリ様に会わせてくださいっ!!

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トリまち タカナシ @takanashi30

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