萩市立地球防衛軍☆KAC2024その⑥【トリあえず編】

暗黒星雲

第1話 トリアーエズ

 君はこの機体を知っているか?

 宇宙世紀において地球連邦軍が開発した小型防空戦闘機だ。英語表記は〝TORIARES〟、形式番号はFF-4である。開発メーカーはハービック社。同時期に開発されたFF-X7コア・ファイターとサイズや機体レイアウトは似通っている。防空小型戦闘機として完成した本機は各コロニーやルナ・ツー等の拠点に配備された。武装は25ミリ機関銃が二門と貧弱で、また小型機故に搭載量も小さかった。これは主にテロや小規模な反乱の鎮圧が目的であり、後に勃発する一年戦争のような大規模戦争を想定していなかったからである。本機はミノフスキー粒子散布下での運用に対応していなかったため早急に退役した。


 私がこの機体を推奨しているのは、このコンパクトな機体形状が防衛軍の装備として最適であると考えたからだ。最小の駐機スペースで運用できる当機は、笠山地下の格納庫に最適であるし、また、防衛軍が保有する艦艇への搭載にも適しているからだ。更に付け加えるなら、某カクヨムサイトのマスコットキャラクターである〝トリ〟は、ネーミングはこの機体トリアーエズのオマージュである。故に、防衛軍に配備する際には垂直尾翼に堂々と〝トリ〟のマーキングを施す事とした。


 どうだ? 総司令。

 私の発案した防衛装備拡充計画を採用してはどうかな?


「などと意味不明な事を言ってます。姉さま」

「そうね、ララさん。ところでコイツには著作権という概念がないわね」

「あれば『機動戦士ガンダム』の設定から引っ張って来ませんよ」

「そうね。ボツ設定でも盗用になりますよ」


 著作権?

 盗用だと?

 アニメでは登場していないではないか!


「バカね。ゲームでは登場してるわよ。馬鹿作者はGNO(ガンダムネットワークオペレーション)で使ってたと言ってたわ」

「ジオンと連邦合わせて最弱の戦闘機だったらしいな」

「そんな最弱を提案する? この阿呆モノリス」


 ……………


「沈黙したわね」

「はい姉さま。当防衛軍の主な相手は裏宇宙より侵入してくる未確認攻勢生物……いわゆる怪獣だ。搭載量の貧弱な小型機では役に立たんぞ」

「そういう事。ガンバスターだったら採用してもよろしくてよ」


 ガンバスターだと?


「はい。さっさと検索しなさい。ピクシブ百科事典にしっかり掲載されてるわよ」


 裏宇宙から来たモノリス・キューブは恐怖の大王を名乗りたかった。しかし、その野望はKAC20243【箱編】において打ち砕かれた。今度は防衛軍に取り入ろうと様々な提案をしはじめた。その第一弾が取り敢えず「トリアーエズ」の配備を提案してみたという事だったらしい。ちなみに、トリアーエズの設定は実在しているし、いくつかのゲームにもちゃんと登場しているれっきとした戦闘機である。これ本当。信じろ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

萩市立地球防衛軍☆KAC2024その⑥【トリあえず編】 暗黒星雲 @darknebula

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説