【KAC2024 6】とりあえずお礼まで

かきぴー

第1話

 言葉は生き物である、という言葉をコラムなどでよく見る。今回「とりあえず」について調べてみようと思った。まさに使われ方が変化している最中の言葉だという印象を持ったからだ。

 平安時代には「たちどころに・すぐに」という意味であった「とりあえず」だが、中世以降「さしあたって・間に合わせて」という意味で使われるようになった。現代においては、両方の意味で使われているから話がややこしい。

 ネット辞書を調べても、「ほかのことはさしおいて、まず第一に。なにはさておき」と、「急いで、間に合わせの処置として。一応」が混在している。


「ご注文は?」「とりあえず生」「とりあえずという銘柄はない!」

 というコントと言うか、笑い話を聞いたことがあるだろうか。

 店主は客の「とりあえず」という言葉に怒っている。「一応」という意味でとらえているのだろう。しかし、客の方は「まず第一に」ビールが飲みたいという気持ちかもしれない。


 ネット辞書の例文に「とりあえずお礼まで」とあった。これも「まず第一に」という意味合いで使っているのだが、「一応」の方に誤解される危険性があるので、私は「取り急ぎお礼まで」という表現を今まで使っていた。しかし今回ネットであれこれ調べている中で、これも失礼に当たる可能性がある表現だと知った。目上の方には使わない方がいい表現だという。上司に対するメールで使ってしまっていた可能性もあるし、後輩に対してのメールでも考えようによっては、上から目線な表現になっているのではないかと、今かなり焦っている。今はやりの「マルハラ」でも神経すり減らすというのに。

 正解はというと、「まずは御礼申し上げます」だそうだ。


 幸い、ビジネスメールを書くことの少ない職業にあるのだが、「趣味は物書きです」と言うからには、ビジネス・プライベート関係なく、日本語を正しく使えるように学んでいかなくてはいけないと自戒の念を込めて、この話を投稿する。

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【KAC2024 6】とりあえずお礼まで かきぴー @o_keihan

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