トリあえず・・・

トリあえず・・・

Barで女優の川井此方（かわいこなた）が魅惑の表情を浮かべ、、、「とりあえず、ラブロイ（ウヰスキー）トリから」というCMが大ヒットし２０XX年の年間CM大賞を受賞した。

このCMを契機に超強烈なピート（泥炭）香を持つラブロイが売れに売れた！

ラブロイの販売をてがける、『トリあえずウヰスキーホールディングス』の株価は爆上がりした。

ちなみに、『トリあえずウヰスキーホールディングス』の名前の由来は、創業者の『鳥居阿江逗（とりいあえず）』さんの名前と創業以前はまだまだ「とりあえずビールで！」という言葉が主流でビール＝お酒という図式が成り立っており、ウヰスキーの知名度はまだまだ低かった。

そこで、飲食店でまず初めに「とりあえずウヰスキー」という言葉を定着させ自身の好きなウヰスキーの知名度を上げるべく作った社名とのこと。

この現象はウヰスキー業界だけにとどまらず、から揚げ業界にも激震を与え、から揚げ専門店などが多数出展されるから揚げフィーバーがはじまった。

居酒屋業界もこの波に乗るべく、『こなたんセット』や『トリあえずセット』、『ウヰから』など様々なキャッチフレーズを打ち出し、売り上げを爆増させたのだった。

そして、一番良い影響を受けたのがCMで起用された女優の川井此方（かわいこなた）だった。

川井此方（かわいこなた）はCMの後、メディアへの出演依頼が殺到し一躍時の人になった。

特に映画『愛の胴体着陸』はムビデミー賞のアジア最優秀賞を受賞にとどまらず主演女優賞を川井此方（かわいこなた）、主演男優賞をチョン・ヨジュン、助演賞でピン芸人のサト４（さとし）が賞を総ナメした。

また、此方（こなた）は『こなたゃんねる』というYO！TubeというSNSでアカウントを開設し、同接６００万や投げ銭１億円などでギネスに輝いたりと栄光を手にしたのであった。

しかし、そんなブームにも突然の終わりが、、、

それは川井此方（かわいこなた）がYO！Tube『こなたゃんねる』のライブ配信を行っていた時のこと。

その日は此方（こなた）がライブ配信中に自身で、から揚げを作り、ラブロイで一杯やり、ライブのトリで「トリあえず・・・ラブロイから揚げ」と艶っぽい表情でキメ大成功で終わったかのように思われた。

「みんな！ありがとう！バイバーイ♪」と言って此方（こなた）が配信を切った。

正確には切ったと思っていた。

そう。配信は繋がったまんまであった。

ライブ配信が繋がったままなので、此方（こなた）に「こなちゃ～ん！まだ繋がってるよ～」などのコメントが溢れていたが、此方（こなた）は気が付かなかった。

それどころか、此方（こなた）は自身の部屋の扉を開けると、男を招き入れた。

それは俳優の浅瀬広政だった。

此方（こなた）は浅瀬を部屋に招き入れるや否やキスをした。

これにはコメント欄が荒れた。

清純派で売っていた此方（こなた）だったのだが、今、キスをしている浅瀬は妻子持ちだった。

此方（こなた）はゲス不倫をしていたのだった。

それだけでも衝撃的なのに、浅瀬がラブロイを口にし「こんな不味いのよく飲むな此方は」と言った言葉に、返した此方（こなた）の言葉が世間に震撼を与えた。

「え～好きなわけないじゃん、こんな酒！何か精霧丸みたいで臭いし嫌いだし～なんなら、から揚げよりチョコの方が、こなたん好きだし～でも、これ飲んでから揚げ食べるだけで、ファンたちがいっぱいお金くれるからやってるんだよ～」

この発言がすぐさま大炎上。裏切られたファンたちが切り抜き動画を拡散、喋ッターでも世界中に拡散された。

その３０分後、事務所の人間が此方（こなた）の自宅に凸し配信を切るも、その頃には取り返しのつかない状況になっており、CMは打ち切りになり、出演依頼が３年先まで埋まっていた此方（こなた）のスケジュールはゼロになり、居酒屋なども『こなたんセット』などをトリやめ、『トリあえず』ブームはあっという間に終焉した。

ちなみに浅瀬広政は妻子と離婚するも海外で再起を果たし、ムビデミー賞を受賞し、逆輸入という形で日本で大ブレークした。

川井此方（かわいこなた）はというと、一時期人間不信になり貯めこんだお金で無人島を買い、そこで生活をしていた。

数年たった後、それをハチTVのディレクターが密着取材をおこなったところ大ブレイクし『サバイバル女優こなた』としてリバイバルヒットした。

肝心のラブロイはというと、日本で売れなくなり在庫のほとんどが海外に流れた。

流れた先のアメリカで、ラブロイのピート香が西海岸の人たちにブッ刺さり大ヒットし大旋風を巻き起こした。

結果、日本では『とりあえずラブロイ』は定着しなかったが、西海岸のBarでは『Toriaezu　LoverRoi』（トリあえずラブロイ）が定着するのであった。

了

～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～

本作に出てくる人物、団体、企業、商品名等は現実とは一切関係ありません。

ご気分を害した方がいらっしゃったら済みません。

尚、この作品に出てきたと類推される事柄すべてが、筆者の大好きなものなので、筆者はディスる気は一切御座いません事お伝えさせていただきます。

～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～