【短編1201文字】【KAC20246】僕の小説に出しゃばってくる、小説投稿サイトのマスコット

南都那氏(なんとなし) ニート風味

第1話 トリあえず


「なんだよ! 『トリあえず』って!」


「どうかしたのですか? ○○さま♡」

 僕のあげた叫び声さけびごえに、専属メイドロボのイブさんが聞いてくる。


 まわりには平均身長31.58センチ(人間換算157.9センチ)平均体重424グラム(人間換算53キログラム)のフェアリーが108匹、飛びまわっている。


「いや僕が小説を投稿とうこうしている小説サイトの短編のお祭りの6つ目のお題に、『トリあえず』ってお題が出たんだけど……」


「なあに? 取り敢えずとりあえずなら、適当てきとうに書けばいいんじゃないの?」

 近くを飛んでいたフェアリーが、話に入ってくる。


「いや『トリ』がカタカナで『あえず』が平仮名なんだよ!」


「それが何?」


「そのサイト、『トリ』と言う名前のマスコットキャラクターを使ってるんだよ!」


「ああ~~~。つまり、マスコットキャラクターを使って短編を書けと言う意味なんだ? 出せばいいじゃん! マスコット!」


「いや僕この短編のお祭りで同じ世界の同じ時代の同じ主人公で連作短編シリーズとして書こうとしていて、こう言う世界観を壊す出しゃばりマスコットはこまるんだよ!」


「ああ~~~。なるほどね!」


「あの~~○○さま♡ そのマスコットキャラクターと言うのは、フクロウとタカのあいの子が野生を忘れて1万年たったようなでっぷりとした体型で紙と羽ペンとインクビンを持ち青と水色を組み合わせたようなペンダントをしていて胸にチャックのジッパーのような物が付いていますか?」


「うん、そうだけど。調べたの?」


「いいえそうではなく、そこに歩いております♡」


「ええ?」


 専属メイドロボのイブさんの視線の先を見ると確かに、野生を忘れて1万年たったようなでっぷりとした体型で紙と羽ペンとインクビンを持ち青と水色を組み合わせたようなペンダントをしていて胸にチャックのジッパーのような物が付いているトリが僕を見上げていた。


ビービービービービービービービービービービービービービービービー


「なに?」

「緊急通信です! スピーカーにしますね♡」


「○○さん! お忙しいところ、申し訳ありません! 急いで、確認したいことがあります!」

「なんですか?」


「ただいま惑星開拓宇宙船わくせいかいたくうちゅうせんノア内のいたる所に、謎の太ったトリが歩き回っているのですが心当たりありませんか?」


「あります……。ちょっと強く思ったみたいで、世界改変したかもしれません……」


「毒をもっている、なんてことはありませんか?」


「そう言う、キャラ付けはなかったと思います……」


「なら血液検査と解剖かいぼうをして安全そうなら、今日の夕食に出してもいいですか? 警戒心けいかいしんがないのか、簡単に捕まるつかまるんです!」


「ああそうですか。野生では、生きていけなさそうですもんね」


「うちの料理人が、蒸し鶏むしどりとニラのやさしい酢味噌和えすみそあえを作ると言っています!」


「ああ~~~。僕和え物あえもの好きじゃないんで、トリあえずに僕の分は唐揚げからあげでお願いします!」



 トリの唐揚げからあげの味だが、脂身あぶらみの多いニワトリのような味だった。

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