狂神官、義の無き世を信仰の炎で己もろとも焼き尽くさんとす

この作品は、小説家になろうで産声をあげ、なろうに住まう数多の読者を震え上がらせた怪作である。2023年のファンタジー作品の中でも傑出した作品の一つと言っても過言ではない。

主人公は勇者でも英雄でもなく、神官。しかも子供である。精神には日本で生きた男の人格を宿すが、周りはもちろん分からない。

その子供から紡がれる苛烈な言葉は、時に人の心を打ち、時に人の生を狂わせる。

その生き様に一切の妥協はなく、彼の目の前に立つ人間をことごとく、癒すか、救うか、殺す。それも全て彼が頂く神アスクラピアの思し召しであるが故に…。

読者はただ、その様を呆然と眺め、次に何をしでかすかと心音を高鳴らせ、見守るのみである。