第6話

 目を覚ますと、真っ暗だった。時間が全くわからない。しかも身体が全く動かない。生霊になって三人も殺した代償に、もう身体が悲鳴を上げてしまったのだろうか。しばらく目を閉じて身体が動きそうになるまで待っていると、誰か周りにいる気配がした。絶対に目を開けてはいけないと直感でわかっていたのに目を開けてしまった。

 課長、伊藤が僕を見下ろしていた。生霊だろうか。いや、両方とも僕が殺したから正真正銘の幽霊だ。

 脚に重みを感じると、上半身のみの安達が僕の頭の方に腕だけで這いあがってくる。僕はこの三人に殺されるのだろうか。もとはと言えばこいつらが僕を虐めてきたのに。自分勝手な奴だ。僕は恐怖を感じなかった。恨み殺されようが僕はこいつらの人生を終わらせることができたのだから、それで満足だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

僕は生霊 佐々井 サイジ @sasaisaiji

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画