第5話

 帰ってから僕はすぐにベッドに倒れ込んだ。寝るつもりはなかったが見ている景色は駅のホームですぐに自分が生霊と化して安達を追いかけていると気づいた。生霊から戻ったとき、自分の身体はどうなっているんだろうという不安が渦巻いているうちに、安達の背中が見えた。駅のホームの先頭に立って、スマホを見ながら電車を待っている。かなり殺しやすい状況だったが、ただ殺すのは面白くない。

 課長や伊藤と混じっておとなげないいじめをしてきた安達。絶対に許さない。電車が到着するアナウンスが鳴った。安達の並んでいるところはちょうど車両の真ん中付近で速度が緩まったころの立ち位置だった。

 電車の顔が白い光を出しながら姿を現した。僕は安達の背中を押した。香西は宙を泳ぐようにして線路に落ちた。

 女の悲鳴が聞こえる。かといって飛び込んで安達を助けようとするヒーローは出てくる気配がない。僕は生霊のまま飛び降りた。安達と目が合って驚いたが、よく考えると安達は僕の背後に迫ってくる電車を見ているだけだった。

 反対車線に逃れようとする安達の両足首を掴んで転倒させた。電車と線路の激しい摩擦音が耳をつんざく。

 片側の線路の上に安達の腰を載せて動けなくした。

「ぐぐぐぐぐぐぐぅぅぐぐ」

 急停車が間に合わなかった電車は安達を真っ二つにした。腰から下がなくなった安達は口から大量の血をまき散らして動かなくなった。ホームからは悲鳴が聞こえる。達成感が凄まじい。

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