エピローグ
PM 3:00 魔術院 議長室
「以下が、今回の始末書になります」
セシリアさんが、リリィに始末書を提出する。今回の事もあり、枚数はかなりのものになっている。
それもそうだ。あれだけの犠牲が出てれば、そうもなる。
リリィは、それを自分のデスクにそれを置いた。
「読まないの?」
「まだ読まないよ。師団の方から何も来てないわけだし」
「師団? 彼らは何もしていないんじゃ」
そんな会話をしていると、誰かが議長室には入って来た。
「失礼致します。遅れて申し訳ございません」
議長室に入ってきた人物は、何と意外な人物だった。
「あなたは!?」
「おや? 言っていませんでしたか」
「どう言うこと? あなた、聖教会にいたんじゃ」
セシリアさん達が、彼女を責めていると、リリィが割り込んできた。
「彼女は、僕があっちに送らせたスパイなんだ。彼女と僕の間の秘密でね、誰にも言えないことだったんだ」
「申し遅れましたわ。私は、ロセリア・ユーフィヴェルト。魔術師団直属の魔術師でございます。因みに、階級はB級になります」
「ロセリア? 『マリア』じゃなくて?」
「あれは偽名です。聖教会でのね。さて、こちらが報告書と聖教会にまつわる資料です」
「ご苦労様。さて、君らには、また仕事をして貰おうか」
リリィは、珍しく真面目な顔をしている。普段はああだけど、こう言う時のリリィは、実に議長という雰囲気を出している。
「僕らが忙しくしていた頃に、また咎人の動きが活発になって来た。それも厄介なことに『666級』のものだ。美羽とイロハは、僕の補佐官という立場上動けないが、執行者は、これまで以上に咎人になりかけてる魔術師の摘発の強化、師団は、咎人の討伐依頼の強化を勤めてもらいたい。
もちろん、両者には咎人の討伐も注力してもらいたい。今回のように、聖教会がまた抗争を仕掛けてくる可能性も考慮して今は咎人の処理に注力したい。
今回は、アルの協力を得た上でこっちの戦勝で終わったけど、次もそうなるとは限らないからね」
「そうね。私たちは私たちの仕事をするしかないわね」
「えぇ。こちらとしても、そうした方が良いと存じます。それに、もうあの人と戦うのは懲り懲りですし」
「よく言うわね。この間までは敵同士だったのに」
「あなたこそ。暴れる事にしか脳がないくせしていいますね」
2人は、バチバチに睨み合う。それもそうだ。魔術師団と執行者は、かなり仲が悪いのだから。
そんな言い争いをしていると、リリィが立ち上がる。
「なら、まずは議会を始めないとね。行くよ、みんな」
リリィは議長室を後にする。私たちも、リリィの後を追うように議長室を出る。
そして、この抗争の勝利を宣言するため、私たちは議会へと赴くのだった。
――――――――――魔女と信仰を歪めし枢機卿 完
――――――――――――――――――――――――――――――
『今回もまた、派手にしてくれたものだな』
『あいつの事だしね。仕方ないさ』
『……少しは姿勢良く物を食わぬか』
『別にいいでしょう? 私の隠れ家みたいなもんだし』
『やれやれ、『魔女』はお前を放牧しすぎだ。もう少し、自分が何者かを知ったらどうだ?』
『失礼だな。自分が何者かってくらい、嫌でも知ってるよ』
『それならいいが。それより、解析結果が出たぞ。やはり偽物だ。複製品と言っていいだろう』
『やっぱりか。あいつから聞いてるでしょう? 処分は任せるって』
『そうだな。これはこちらで処分しよう。報酬はくれるんだろうな?』
『それも言ってなかったっけ? 口座に入れておくって』
『それならいいがね。それより、こっちにいないか?』
『嫌だね。私は、あいつの元にいる方が楽だし』
『そうか。それなら止めはせん。何だもう行くのか?』
『みんな帰ってくるしね。お暇させてもらうよ』
『あぁ。気をつけて行けよ。『アルトナ』』
『はいはい。んじゃ、またね。リリム』
――――――――――――――――――――――――――――――
【完結済】魔女と信仰を歪めし枢機卿 nashlica @nawoc_56
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