アクアリウムを追いかけて,ふたりどこまでも

@Nanayuyu753

ふたりなら

アクアリウムを追いかけて、 ふたりどこまでも      紫喫茶


     

     皆さん、お初にお目にかかります。わたくし。

     当ビアンカ水族館受付兼旅先案内人のクリスと申します。御覧頂きまして。誠にありがとうございますわ。

     今回の物語は普通の生活にありふれた一つ。

     少女はヒトツの世界を通して、ヒトリの誰かを想い。ひとりはみんなを信じ、寄り添える気持ちをみんなで叶えた世界。

     そんな世界と出逢う。ちょっと前の素敵な二人の、御嬢様方のほんの暖かいお話。



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幼い頃の記憶。

家族と一緒に海を訪れた少女は一緒に海に訪れた親友を探す為、沖まで必死になって泳いでいた。

海に出たはずの親友が見つからず焦りばかり募る。

太陽に照らされた波音の静けさ、鼻腔を刺激する潮の匂い。そして高温ともいえる気温の暑さ。海に入水してる肌に滴るは嫌にべたつく塩水と多くの焦燥ばかり。

焦りで脳が支配されている少女はふと、顔面の水面に視線を写した。本当に他意はなくただ下を見てしまった。そこには……どこまでも闇が拡がっていた。水面に浮かぶ自身の影におもわず身を仰け反ったが、その時不意に海底に脚が届かないのを思い出した。見誤った瞬間だった。

騒ぐ大人の喧騒、暖かい潮風の匂い、浜辺で嬉々と話していた親友が……沖に泳ぎに出る前の楽しかった光景が。

「走馬灯」が浮かんだ。波の音で遠くで楽しげにはしゃぐ人達に声は届かず、一瞬にして少女を奪い去ってしまった。

どれだけ時間が経っただろうか。


流されてる少女を監視員が見つけ,救急隊員の迅速な措置と救急車で担ぎ込まれた病院の医者による懸命な処置で奇跡的に彼女は一命を取り留めた。

しかしあまりに鮮烈に焼きついた恐怖は言える事がなく、ある後遺症を患ってしまう。少女はその日を堺に海に対する感情や感覚全て……畏怖の象徴になっていた。



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その日は強く雨が降っていた。

そこには喫茶店に来たばかりの一人の少女が受付で店員を待っていた。

(いらっしゃいませ、長らくお待たせ致しました。お客様は何名様でしょうか?)

聞かれた少女……ルルは答えた。

「………連れがいますので」

(かしこまりました。お好きな席へどうぞ)

ルルは親友の待つであろうテーブルへと足早に向かった。

今日はルルの大親友スーちゃんこと、スーズちゃんの一ケ月事の定期健診だ。

しかしテーブルに親友の姿はなく、どうやら自分の予定が先に終わったのだと悟った。

仕方がないので待つ間一息つこうと、喫茶店のメニューにあるお気に入りのアールグレイティーを嗜んでいた。


「ルル?先に来てたんだ。隣の席は空いてたりする?」

不意に名前を呼ばれ顔をそちらに向けた。スーちゃんだ。

「あ、スーちゃんだ。来てくれたんだぁ、これメニューだよ」


 いつものスーちゃんだった。白のワンピースでこれからの時期を想起させるような可愛らしい服装だ。

白の帽子もワンピースでセットだったらもっと魅力的があるとルルは思った。

「ありがとう」

あれ?スーちゃん、もしかして疲れが出てるのかな?なんだか声に元気がないような気がする。

「スーちゃん、昨日は寝れた?」

スーちゃんの体調を大切にしてあげたい。そんな気持ちで問いかけた。

「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。ルル」

ルルに何かを伝えないといけないと思い詰めているような、いつもと違うような俯き。

そんな表情がスーちゃんからの顔で見え隠れしていた。

「気を使わなくてもっていいって……本当に優しいね、スーちゃん」

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(お冷をお持ち致しました。ご注文はお決まりでしょうか)

しばらく二人で話していると店員さんが注文を取りにきてくれた。

スーちゃんはお冷というワードを聞いて一瞬、体を怖ばらせていた。

「ホット珈琲を二つ、マロングラッツェと、ガトーショコラを一つずつ。スーちゃんは?」

自身の不安を隠すようにメニューに目線を変え、スーちゃんが答えた。

「わ、私はもう少し考えるかな。ありがと」

店員さんは確認の為、メニューの復唱を始める。

(かしこまりました、ご注文を繰り返させて頂きます。アイス珈琲を二つ、マロングラッツェと、ガトーショコラを一つずつ、

ご注文はお間違えなかったでしょうか? )

スーちゃんが答える。

「え?注文はアイス珈琲じゃなくて、ホット珈琲二つなんですが……」

指摘された店員さんが、確認ミスに気づき答えた。

(し,失礼致しました。アイス珈琲ではなく、ホット珈琲二つでした。御指摘ありがとうございます。……はい。改めてご注文を繰り返させて頂きます。ホット珈琲を二つ、マロングラッツェと、ガトー ショコラを一つずつで……ご注文はお間違えなかったでしょうか?)

安心した様に、スーちゃんは答えた。

「大丈夫です」

(ありがとうございます。もう少々お待ち下さいませ)

注文の確認を終えた店員さんが厨房へと戻って行った。

スーちゃんは……お冷というワードで身体を怖ばらせていた。

それが気に掛かって声をかける。

「スーちゃん。大丈夫?」

スーちゃんは平常心を取り戻したかのように、いつもと変わらない口調で答えてくれた。

「う、うん……喉が詰まりそうになっちゃった。少し怖いけど…………うん。大丈夫」

スーちゃんは飲み物を呑む行為も苦手だ。それでも良くなった方で一気に飲まず少しずつだが飲めるようにはなっていた。

「そうなの?話は聞くから,ゆっくり話してこ」

こういう怖さは他の人には分かりにくい。理解されにくい病。

ルルも思う事に対して抵抗があるのは変わらない。

一番理解して克服しようと奮闘してるのは紛れもないスーちゃん。

入院を始めた時からしたら大きすぎる一歩だ。

「ありがとう。ルル」


呑まれる恐怖。海でひとりぼっちの中で消えていったら、誰にも、世界にも、きっと気付かれないまま。

自身が居なくなってしまう恐怖。来るはずのあった明日が無くなる。少し考えただけでもゾッとする。

恐怖心は煽られると、考えた自分さえも呑み込んでしまう。怖いという心は何年経っても螺旋のように続いていく畏怖。

スーちゃんが確かに克服しようとしてるのは、目を見て分かるくらいには付き合いが長い気がする。


海の中ってどんな色をしているのだろう。ルル自身、興味があった。


そんな事を考えていたらメニューに目が留まり、唖然とした。

ルルは無意識にケーキを二人分を頼んでしまっていた事を思い出していた。


「よく食べれるね。あ、珈琲とケーキは一人で?」

スーちゃんが無理してるのでないかと話しかけてきてくれた。

さすがに二つのケーキを一人では至高過ぎる。

「一人で食べるなんて太っちゃうよ。一つはスーちゃんの分」

スーちゃんと一緒なら大丈夫かも。賭けも含めて聞いてみた。

「私の分?奢られるような事は理由は無いような。うーん?」

奢られるに理由が必要かな?って、時と場合には必要はあるかもしれないけどって思ってしまう。

「その、私がスーちゃんに奢りたい気分なの。ダメかな?」

心配しちゃって奮発しちゃった……なんてのは流石に言えない。

けどスーちゃんは察しのいい子だから、気付かれちゃうかも。

「なんだろう。ルルの奢りって……無理してない?」

本当にいい子しずきて、ルルが泣きそうになってしまう。

「いいの。今日は久しぶりに逢いたいって誘ったのルルだったし、その……」

少しだけ顔を引いて、スーちゃんが話題を変えようとした。

「あのさ、渡したいものがあるんだけど。いいかな?」

ルルに渡したいもの?

「……スーちゃん?」

ルルは恐る恐る、なんだろうと。

「これなんだけど。その……」

目の前には長方形の質のいい化粧箱に身を包んだ物が現れた。

「これは……箱?」

初めてのことで、キョトンとした。

「うん。開けてみて」

言われるがまま箱を開けてみた。

中には綺麗な金と銀の左右色違いのクラゲちゃんのイヤリングが、二つ入っていた。

「ふぇ。イヤリング、綺麗……」

一目惚れしそうになり、手に触れてみた。

驚いでるルルに優しく問いかけるようにスーちゃんは言ってくれた。

「そう。イヤリング」

ルルは困惑してしまった。

「ルルに……スーちゃんが?」

正直言うなら貴金属をもらうのは……初めてで相手がスーちゃんだったのも驚きだ。

「うん。ルルがいいなら受け取って欲しい」

感情を無理やり抑えて少し上ずいた声で確認の言葉を伝えた。

「いきなり……だね」

いきなり過ぎて、スーちゃんに対する不安も心配も飛んでった。

「形式上なら。大切な人に渡すときに【貴方と一緒にいたい】って、想いを込めて渡す風習があるんだって」

大切なひとって、ルルはスーちゃんにとって大事な存在ってこと?

一気に顔が真っ赤になった。

「そ、そうなんだ。でも相手が男の子だったらまだしも、ルルだよ?」

スーちゃんには筒抜けになってるのかな?ねぇ、これってわざと?

「ルルでなきゃヤダ」

そんなストレートに言われても、これって告白だよね。

「ヤダって……私たち子どもじゃないのに」

うーん。大好きな男の子ができた時にそういう気持ちを残しておいてってなるよ。ね、スーちゃん。

「同性からはイヤだった?」

スーちゃん。かわいいし、私も大好きって言いたい。

「スーちゃん。恥ずかしいよ」

細かい所に気づく癖は前々からだから慣れないよ。

「困り眉毛になって可愛くなるよね。ルル、昔から変わらない」

スーちゃんは素直な言葉で返してきた。

「もう。スーちゃんは……」

ルルは気付いた。イヤリングの金と銀、接続軸が互いに色合わせになっていて二つで一つ。

「あれ? このイヤリングって金色と銀色の色違いだよね?」

まるで金と銀が月と太陽のような色合わせがモチーフになっていた。

「そうだけど?」

スーちゃんは気づいてないようだ。

「だったら。ルル、この金のイヤリングだけにしたいかも」

銀と金の色合わせだったら、銀のイヤリングにはスーちゃんがふさわしい。

「え?どっちもルルのだよ」

ルルは笑って笑顔を見せた。

「ヤダ」

素直な気持ちで答えたつもりだった。

スーちゃんはへそ曲がりな言葉を吐いた。

「ヤダって」

それもそのはずだ。ルルの事を考えて緊張して、選んでくれた筈だ。

そんなスーちゃんと互いに同じペアの貴金属を互いに付けて、互いのお守りにしたい、

我ながらナイスなアイデアだ。

「スーちゃんが、もう片方のイヤリングを着けていて欲しいなって」

気恥ずかしそうに聞いてみた。

「え?」

スーちゃんの気持ちは理解したいし、これからも一緒に居たいってさえ思う。

「ルルとスーちゃん、二人で一つのペアイヤリング、離れてもずっと一緒だってルルは想いたいの」

これから先を予期したのか?スーちゃんの顔が少しこわばった。

「それ、お別れの台詞みたいでイヤだな」

ルルは勇気を出して想った言葉を続けた。この時のスーちゃんのこわばった表情を見逃していた。

「ちょっとだけ恥ずかしいけど……ルルも勇気出して、スーちゃんに対して想った言葉を伝えたかったの」

言葉を聞いて気が抜けたのか。安心した表情のスーちゃんが答えた。

「そっか。勇気出したんだね。ルルだからかな。いいなって思った」

スーちゃんの安心した表情を見たルルは赤面を隠せなかった。

「スーちゃん」

スーちゃんは覚悟を決めたかのように、ルルに温かい言葉を投げ掛けた。

「それじゃ。このイヤリング。私が預かるよ」

その言葉に少しだけ、一抹の不安を覚えた。

「スーちゃん……そのイヤリング、離さないでね」

スーちゃんの曇りない瞳には映っていた。

二人で一つの絆の耳飾り。これからの二人ならきっと何があっても大丈夫。

「離さないよ、ルル。世界で唯一、大切な人から預かった物だもの」

ルルは素直な気持ちで感謝の言葉を述べていた。

「ありがとう。スーちゃん」

最初に声が出たのはスーちゃんだった。

「改めて言葉で伝えるとさ。は、恥かしいね。ははは」

ルルは……。顔から火が出そうで、顔が真っ赤だった。

「ルル」

スーちゃんが名前で呼んでくれた。

「うん?」

顔から火が出そうで、顔が真っ赤だった。敢えて言葉に出さないスーちゃんって……特別な感情が溢れてくる。

「うん、いつものルルだ」


ーーーーーーーーーーーーーーーー

二人の二人だった。気持ちがわかりあえた。

今日のスーちゃん、素直でかっこいい気がする。

告白されたの初めてだったからルルも動揺しちゃったけど。

「恥かしいものは恥かしいもの。でもルルを失いたくない気持ちは本当だし」

真剣だということは目を見ればすぐにわかった。

「わかってる、ルルだってスーちゃんを失いたくはないのかも」

ルルの言葉で動機が激しく唸っていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

店員が注文した商品をテーブルに届けにきた。

(お待たせ致しました。ホット珈琲を二つ、マロングラッツェと、ガトーショコラを一つずつお品物はお間違いなかったでしょうか?)

注文内容に誤りがないように無いようにチェックをして、店員に答えてみせた。

「はい。ありがとうございます」

店員が文言の確認をするかのようにアナウンスをした。

(他、御注文等がございましたらお気軽にお申しつけくださいませ)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ルルが呟くように。自然に言葉が出た。

「はぁ、このケーキみたいにスーちゃんに口説れちゃったかも」

スーちゃんは話の内容に興味津々だった。

「どういう事?」

内心を探られた気持ちになり、隠すように答えた。

「聞かないでほしいかも。スーちゃんはガトーショコラとマロングラッツェ、どっちがいい?」

内心を察してほしくないという素振りを見せた。

「……?なら ルルのオススメは?」

相手がスーちゃんで良かったと、言わないだけでルルは恥ずかしい気持ちになった。

「カロリー摂取量はガトーショコラの方が多いかも」

意外にもスーちゃんはガトーショコラを選んだ。

「なるほど、だったら甘い物好きとしてガトーショコラをもらおうかな」

ルルはわざと聞いてみた。なかなか本音を見せてくれないから。

「偶には、私の前でも気を抜いていいんだよ。もしかして……ヤキモチしちゃった?」

この聞きかたは流石に、スーちゃんにバレたかな……。

「スーちゃんは居るとルルは嬉しいと思う。スーちゃんは私とのティータイムは楽しい?」

こういうとこ、イジワルなスーちゃん。

「ティータイムという言葉で見繕ってもわかりやすいんじゃない?ルル」

詳しくはきかないけど、病院で仲良くなった男の子の入れ知恵かな?

「やっぱり……今日のスーちゃんは察しが良すぎる気がする」

スーちゃんとはお互いに心を開いて更に仲良くは慣れた気がするからかな。

「ルルが私を見てかっこいいって他に言わないでしょ」

本音だろうと思うルルだった。

「そうなの?あ、このマロングラッツェおいしい」

ルルは目の前のケーキの一切れを口に運んだ。

「さて、私はガトーショコラ頂こうかな?ルルのオススメみたいだし、きっと美味しい」

スーちゃんもルルのはにかんだ笑顔を待っていたかのように、ケーキの一切れを口に運んだ。

「きっとは要らないかも。なかなか食べる機会に恵まれなかっただけなんじゃないかも?」

先程のように互いにディベート大会のような討論ではなく、二人の少女同士の温かい時間が流れる。

「それを言われると、うーん……仕方ないよね、今が楽しかったら問題ないし」

スーちゃんが降参するかのように呟いた。


「そかそか。あ!予定を忘れてた」

少し焦り気味のルル。

「いきなりどうしたの?ルル」

動揺しているスーちゃん。

「服を見に行かなきゃって、スーちゃん。一緒に新作のかわいい服見に行けたりする時間ある?」

時間はまだお昼時、ショッピングも考えていたルル。

「え………………やだ」

スーちゃんは呆れたかのように言った。

「やだって?うーん……服のお買い物だし、夏物をそろそろ出さないと」

梅雨が晴れ始めたこの時期、気温が高くなる前に買い物が出来ればと思っていた。

「動きやすいし、まだ大丈夫でしょ?」

ルルは別の服も着たらかわいい。店内でも見たいと思い、ふいに言葉を呟いてた。

「スーちゃんだったらって、話かも」

ルルだって分かってるじゃないと言いたいかのように。

「そうだよ。ルルの買い物は長いだもん」

またディベート大会の始まりになりそうだったので、白旗をあげた。

「はぁ、今回の奢りは無しにするかも」

わざとらしい態度を取ると、スーちゃんが慌てふためいた。

「それを言われたら……時間は空いてるし、流石に服屋さん以外にも行きたいお店はあるでしょ?ルル」

他に行きたいお店か。

スーちゃんからかわいいイヤリング貰っちゃったし、近くのショッピングモールで女の子っぽい事がしたい。

「だったら、スーちゃんとプリクラを撮って欲しいなって思うかも」

スーちゃんは呆気にとられた顔をした。

「プリクラ?」

素直に思った言葉を呟いた。

「うん。ルルとスーちゃん、これからも二人の想い出を多く作りたいって思ってるかも」

スーちゃんは少し困った表情をしつつ、考えてから答えた。

「うーん、二人だけの想い出に……いいよ。近くのショッピングモールにゲームセンター入ってたかな?」

話が決まり、ルルは財布から紙幣を取り出し会計へと向かおうとする。

「なら決まりかも。さてと一旦、財布から一万円札っと」

テーブルから離れ受付へと向かう際、スーちゃんの手がルルの指に触れ、ルルは少しドキっとした。

「行こう、ルル。お会計はお任せするよ」

手が触れお互いの指が絡まり、重なった。

「場所は任せるかも、スーちゃん」

スーちゃんが答えてくれた。

「はーい」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  


スーちゃんが先に外で待ってるとルルが受付のベルを押すと、店員が受付に来た。

「お会計で」

店員はかしこまりましたと言わんばかりにレジを動かした。

(お会計でよろしいでしょうか?)

店員に注文表を渡した。

「はい」

店員が注文表をレジに入力し、商品を確認した。

(お会計はご一緒ですか?)

金額を算出され、金額がレジ画面に出力された。

「一緒で」

店員が金額を確認し、商品個数と金額を読み上げた。

(かしこまりました。お品物五点で二千三百円になります)

ルルは財布から出して紙幣を店員に渡した。

「一万円札からで」

店員は預かった紙幣をレジに入力し、排出された紙幣と小銭、レシートをルルに渡した。

(はい、一万円。お預かり致します。お返しは七千七百円とこちらレシートとなります)

預かったレシート、紙幣と小銭を財布に入れ、ルルは御礼を伝えた。

「レシートありがとうございます。ごちそうさまでした」

店員は再度御来店頂ければと思い、言葉を伝えた。

(ありがとうございました、またのご来店お待ちしております)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

チリン

外を出ると、雨が止み雲が開

けて快晴に澄み渡る中、スーちゃんが待っていた。

「さて,何処のプリクラがオススメなの?ルル」

自然に指を絡める二人。

「プリクラで写真撮って。ショッピングしてこれから、面白そうな気がするね。ルル」

これからに期待を膨らまして生き生きとするスーちゃん。

「そう?スーちゃんとなら、どこまでも行けそうかも!」


二人ならきっと大丈夫。二人だから歩める。

二人の少女が歩む先に辛い出来事が待っていたとしても。

左右のイヤリングが光りをはためかせ、今日も二人は街へと……。

Fin



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