第7話

私は全容が見えてきたので、秋野刑事に会うことにした、彼に涼子を中心とした人間関係を話し、いままで私が会って話した者たちのレコーダーの記録を聞かせて、具体的なうらを取った、秋野刑事は「やはり涼子が中心でしたか、礼状をとりますか、保険金の横領でいけますね、」「そうだな、とりあえず逮捕をして、全容を暴き出そう」

 数日後、涼子は横領容疑で逮捕された、留置場に入れられた涼子は髪はぼさぼさで、花柄のよれたワンピースをきていた、ベルトやひも類はすべて外されて一瞬だらしなさそうに見えた、鉄格子の向こうから憎しみを込めているようににらんでいる、私は黙って目線をずらした、明日からの厳しい取り調べを想像すると、彼女の顔を直視することはできなかった、

  彼女の取り調べは朝から晩まで続いた、横領については裏がとれたのであっさりと自白をした、春男の件は全く知らない、覚えてないで、話は前に進まなかった、ただ時間だけがすぎていった、秋野刑事が私のところに来て「彼女、相当なものです、なにか突破口はないですか」私は大山の独り言を思い出した「そうだ大山は何か涼子に対して悔しがっていたようだ、彼がもっと悔しがることを言おう、つまり、涼子が800万円をせしめたことをだ」秋野刑事は大山を取調室へいれると開口一番に話した、大山は「ちくしょう、だましやがって」となんども机をたたいた、「結局、いいように利用されていたんだな」それから大山は涼子のことを堰が切れたようにしゃべりだした、その後大山の供述で涼子も逃げられなくなった、当日の春男のことはすべて涼子の差し金で実行されたことが分かった。春男は自殺を強要されたのだった、しかし、果たして涼子だけの差し金だったのだろうか、釈然としないでいた、私はもう一度当日の秋野刑事が作った調書をよみかえしてみた、靴跡とタイヤ痕の調書の細部を読みかえした、靴跡は3足分でタイヤ痕は4台分だった、靴跡はありふれたスニーカーだったがタイヤ痕は1台がドイツのタイヤメーカーだった。

 










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窓際刑事の最後の事件簿 小深純平 @estate4086

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