4.瞬間移動

祝福者ギフター。この世界でごく稀に生まれる、異能を持つもの。

それは火炎を起こすもの、雷電を操るもの、草木にまつわるものなど、多種多様である。


そしてその祝福者ギフターが集められるのが、星海高校。その生徒は今、宇宙人討伐の為に集められている。


「……でも、異能使ったことない上にいきなり実戦投入って無理じゃない?」


横にいる葉月はづきが言う。

「ま、まあたしかに。」

なんて返していると、前にいる軍服姿の男、唐本からもとが手をポン、とならす。


「さて、と。まあ詳しいことはおいおい話すとして、今はとりあえず移動するか。

頼んだぞ、和奏わかな。」


唐本が言うと、横にいるふた周りほど小さい女性が

「……分かりました。」

と、小さく言う。

その途端、生徒の頭上から、黒い幕が降りてくる。

それがその場にいた人全員の視界を、黒く変えたのだった。


***


「和奏の暗い終劇ブラックカーテン、いつみても便利な異能だよ。」


黒い幕の向こうから、突如声がする。

そして幕がゆっくりと、上に戻って行った。


いきなりの光に目をくらませながらも、うっすらと見えたその先は、先程のシェルターと同じように無機質な壁と床があり、それでいてシェルターとは比べ物にならない程に大きい空間だった。

突如として瞬間移動したことに生徒が驚いたのだが、その声をかき消すように手を鳴らす人物がいた。


「はーい。私は星河ほしかわ。星河古乃この。幹部の1人だよ。」


クリーム色の長い髪を少し下げたポニーテール。そして前髪の黒いメッシュが目立つ女性が言った。

先程の黒い終幕ブラックカーテンの時も古乃の声だ。


「ここからは私が案内するね。」


そう言うと、カラン、と言う特殊な足音を立てた古乃が進む。

下駄の音を鳴らしながら歩き始める古乃に、困惑しながらも生徒が続いて歩く。

それを見た唐本はこちらに手を振ると、古乃らとは逆方向にある扉に消えていった。


歩き始めた古乃が言う。

「とりあえず戦える実力があるのか、1人づつ調べるね。ここにある扉に1人づつ入ってきて。順番にね。

私は先入ってるから1人づつだよ?

帰ってこなかったら3分ごとに入ってきて。」


和室のような部屋に移動した古乃達の前にある、やたら金属質の扉を開いて言う。

その向こうに消えた古乃を見送った生徒らは誰から入るか、入ったらどうなるのかで揉める。


「どーする?誰から行くんだ?」

ざわめきの中そう言ったのは襟足を伸ばした、いかにもヤンキー、という風貌の人だった。

彼の名前は竜目りゅうもく龍也たつや。ここら一帯を仕切っているヤンキー集団のトップである。


「んー、私から行きましょうか?」


紗亀さがめが言う。それを聞いた周りの女子は驚いた声で止める。

何があるか分からないんだよ?と。


一方そらは…………

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もしも昨日世界が終わっていたのなら 翡翠 珠 @Kopepe

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