結婚願望が黒歴史

逢坂 純(おうさかあつし)

シノラーと本気で結婚したかった学生時代

誰でも一度は夢想するだろうと思うことがあります。それは、芸能人との結婚願望。只、それは恐らく一般的には小学生、中学生、あるいは高校生の頃のことなのでしょうか。僕にもそんな時期がありました。しかし、僕の場合は、大学生の時でした。周りの級友が、リアルな恋愛を楽しんでいる間に、僕はテレビの中の女性に恋をしていました。相手はシノラーです。いや、シノラーではなく、篠原ともえです。シノラーというのは、当時、街に溢れていた「羽の付いたランドセルを背負い、顔にラメの☆を一杯付けて、前髪を眉毛の上でパッツンと切った女の子」のことを言うのでしたね。そんな女の子が一時期、巷に現れていたのを記憶しています。だけれども、僕が恋をしたのは、シノラーだった篠原ともえでした。安産型のお尻を振り振りとして、ピー!グルグル、ガジャーン!とやかましくテレビの中を賑わせた女の子に当時の僕は恋をしていました。元気いっぱいで歌がうまくて、キュートで可愛い篠原ともえ。写真集も持っていました。彼女の母校へ行って撮影したフォトアルバムだったでしょうか。普段のシノラーとは違う大人な顔の篠原ともえを写した写真集は16歳の等身大の篠原ともえを写していた本だと言えました。学校の先輩に僕は公言していました。

「結婚するなら、絶対に篠原ともえだ!」と。

遥かテレビの中の篠原ともえは、これもテレビの戦略だったのでしょうか、とても僕にとって身近な存在で、毎日テレビに出演していました。シノラーだった篠原ともえは、僕が大人になっていくに従って、彼女も自分の行くべき道を決め、デザイナーなどを今はやっている様子です。そして、今は一般男性と結婚したということです。芸能人は自分の結婚を皆、発表したがります。でも、篠原ともえは、その発表をしませんでした。それは、シノラーファンにとっては、篠原ともえという女性は、いつまでも心の中の明るい灯でいてほしいという願いがあったからかも知れません。テレビの中のとても元気な女の子に恋をした自分は、それはそれで毎日を楽しく生きてこれたのではなかったでしょうか。そんな青春時代を送っていた青年期の僕は、幸せだったのではなかったでしょうか。あれから僕もリアルな恋愛を決して綺麗なものとは言えなかったかも知れないですが、曲りなりにもしてこれたけれど、篠原ともえに恋をしたことは僕の心の中では今でも大きな割合を占めています。テレビの中のアイドルに結婚願望を抱く……、これもまた黒歴史かな。

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結婚願望が黒歴史 逢坂 純(おうさかあつし) @ousaka0808

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