ドキドキしっぱなしだ。
幼なじみの
内心の動揺を隠しつつ返事を返すと、トントン拍子に遊びに行く事が決まった。
デートだ、これは紛うことなきデートだ!!
浮かれた俺に姉がうるさいと喚いたがスルーした。なんせ、こっちは出会った時の栗毛で睫毛の長い天使みたいな正樹に一目惚れしたのだから。
通年、十五の今に至るまで好きなままだった。
俺は正樹が言うところのイケメンに入るようで、告白された回数も多い。
でも正樹がいるからと全部断ったら、それが更にかっこいいとモテた。
そんな俺の思いはひた隠しにしてたのに、いつバレたんだ、いつ!!
なにわともわれ、デートには変わりがない。
俺はウキウキした気分で服を選びにかかった。
当日迎えに行くと、正樹は凄い意気込んでいた。可愛いったらない。
並んで近くのテーマパークに向かうが、顔の赤くなるのは仕方ないだろ。
だから下から覗きこむな、くそ、一々仕草が可愛いんだよ!!
テーマパークではジェットコースター三連発に乗れて、かなりワクワクした。
正樹は怖がりなクセにジェットコースターは好き、とか訳分からない嗜好の持ち主だった。
ただ、俺もジェットコースターは好きなので、正樹と乗れるのはかなり嬉しい。
ニコニコと嬉しそうな顔が強ばっていくのは、今日のメインであるお化け屋敷が見えた時からだった。
「大丈夫か? 腕に掴まってるか?」
「手を繋いでて欲しいかな、離さないでね! 」
手を差し出すと、ぎゅうと握られて心臓が高鳴った。
カタカタ震える肩を抱くと、手を繋いだまま腕にしがみついてくる。その可愛さの破壊力よ!
でも心配で顔を覗き込むと、暫くして震えは収まった。
良かった。
「怖かったら、リタイアするからな」
「それは、嫌だ。僕は頑張るんだ!」
強がりを言う正樹は、眼前のお化け屋敷をきっと見上げて決意に満ち溢れていた。
腕にしがみつかれたまま、お化け屋敷である廃病院の中を回る。
脅かし役のスタッフが脅かす度にひっついて、力がこもるのが可愛い過ぎた。
昔から怯える正樹が可愛すぎて、正樹の姉や兄とともにホラーなどを見せたのは良い思い出だ。
「正樹、大丈夫だ。脅かしてるのは人間だから、もっと怖いのは霊とかだから。創られた恐怖は本物には勝てない」
「でもでも、やっぱり怖いよう」
「リタイアするか? 」
「それはやだぁ……っ!」
あまりにも反応が可愛い過ぎて、思わず頬にキスしてしまった。
すると正樹が固まった。
やべ、やらかした。
「びっくりして、怖さが少し吹き飛んだ気がする、気を紛らわしてくれたんだね、やっぱり優しいなあ」
ありがとうね、とはにかむ顔が可愛い過ぎて、唇にキスしたくなる衝動を押さえつけた。
「よし、落ち着いてきたし、最後まで頑張ろう!」
「それなら良かった。ゴールは近いぞ」
よしよしと頭を撫でて柔らかな感触を楽しんでいると、脅かし役が気を利かせたらしく、後半は脅かされる事が減っていた。
それから暫くし、無事明かりが見えて、ゴールの廃病院を出る。
「頑張ったな」
「君がいてくれたおかげだよ、本当にありがとうね! 」
満開の花が咲いたような笑顔を見せられ、思わず抱きしめた。
「えっと? 」
「おめでとうのハグだ、よく頑張ったな」
「うん、君に言われて落ち着いて考えたんだ。たしかに幽霊のが怖いなって。
そしたら、落ち着いた、ありがとう! 」
この日を境に、正樹の怖がりは少し鳴りを潜めたのだった。
デートは恙無く終わった。
俺らの関係も、少しだけ変わった。
やっぱり正樹の隣は俺がいなくちゃな!
今日も俺は、朝迎えに行き、挨拶としてキスをした。
すると、正樹の怖がりは落ち着いたのだった。
こうやって外堀を埋めて、いつか、本当に付き合ってやるからな。
怖いの克服したいから付き合って! ミハナ @mizuhana4270
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