怖いの克服したいから付き合って!

ミハナ

怖いの克服したいから付き合って!

年の離れた姉や兄に、僕は散々からかわれて今まで過ごしてきた。

姉や兄はホラーとか怖いもの全般が大好きで、よく一緒にTVとか、借りてきたDVDとか見させられて育ってきた毎日を振り返り、なんで僕は怖いものがダメなんだろとため息を吐きたくなる。

しかも、その怖がる様子がおかしいのか、更に色々怖いものを見せてくる始末。

それならもう耐性ついてもいいのに、何故か僕は怖がりのままでいる。

このままじゃ、いつか出来る彼女にも飽きられてしまう! !

一大決心した僕は、怖がり克服に打って出る事にした。


まずは、誰をターゲットもとい道連れにするか。

姉や兄は論外。

なら、幼なじみならどうだろうか。

彼は怖いもの大丈夫だし、確かホラーも好きだったはず。よし、彼にしよう。

思いついては即行動だと、彼のLINEページを開いて打ち込んでいく。

『僕と付き合って! ! いい加減怖がり克服したいんだ! 』送信っと。

すると直ぐに返事が返ってきた。

『おk。具体的には?』

『一緒にお化け屋敷に行って欲しいんだ、近くに最近出来たテーマパーク、そこ行きたい』

『いつ』

『来週の日曜日、昼の一時から。いい? 』

『おk、迎えに行く』

よし、約束も取り付けたし、テーマパークのチケットを取っておこう。

僕はテーマパークのサイトをクリックした。





日曜日は気持ちいい晴れで、僕らはテーマパークへと向かう。

ただ、なんか彼の様子がちょっとおかしいんだけど、何でだろ?

迎えにきてくれて、一緒に歩いていてもどこかぎこちない。

僕の方が身長小さいから隣合う彼の顔がよく見えるんだけど、耳がちょっと赤い。

風邪でもひいてないはずなんだけど。

あと、車がきたら庇ってくれた。

僕、そんなに浮ついてたのかな。

危ないからって車道側を彼が歩く。

おかしいな、こんな風だったっけ、僕ら?

「もうすぐ着くね、ほんと電車も乗らないでいけるのいいよね! 」

「そうだな、最初からお化け屋敷行くのか?」

「調べたら並ぶらしいけど、まずは普通に遊んで回ろ? ジェットコースター乗りたいだろ?」

そう言えば彼の目が輝いた。

僕は何故かジェットコースターは大丈夫で、あの爽快感のトリコだ。

普通、怖がりならジェットコースターもダメなはずなんだけど、そこは感謝だ。

そうこう言ってる内について、チケットを見せて入る。

さあ、怖がり克服するぞ! 僕!





いくつかのスポットを回り、多少でも空いてる時間帯まで遊んだあと、僕らはお化け屋敷の待機列に並んだ。

「大丈夫か? 腕に掴まってるか?」

「手を繋いでて欲しいかな、離さないでね! 」

ぎゅうっと手を握ると、彼が赤面した。

やっぱり風邪気味なのかな? それなら悪いことしたなあ。

ぎこちない彼と、これから挑むお化け屋敷に目線を向けた。

最恐!血塗られた廃病院 とデカデカとおどろおどろしい看板が怖さを助長する。

やっぱり、こわい。

僕は思わず彼に、繋いだままで腕ごとひっついた。

「だ、大丈夫か?!」

「だいじょうぶ、はなさないでね、ほんとにはなさないでね……っ」

カタカタと震える肩を抱き抱えられて、顔を覗き込まれる。ああ、彼はいつみてもイケメンだな。

ちょっと落ち着いた。

「怖かったら、リタイアするからな」

「それは、嫌だ。僕は頑張るんだ!」


いざゆかん、お化け屋敷!

僕らは廃病院に足を踏み入れたのだった。





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