第35話 解決

 タカトウ・コーポレーションの大きな会議室に社員が集められた。ザワザワする大勢の社員を前に社長とレイとジャックが並んでいた。


 ジャックはFBIの身分証を見せながら皆の前で事件の顛末を話す。


 要約すると、事の発端は丸岡がギャンブル依存症であちこちに借金を作り麻薬密売に関与、その上カジノでイカサマをしてマフィアと銃撃戦を起こしてレストランを爆破した。追い込まれて会社の金を横領し挙句の果てに鷹東怜の名を騙りICO詐欺を働いた。すべては丸岡と G.P. の仕業だった。


 鷹東怜はそれに気づいてFBIと共に事件解決に大いに役立ってくれ国は大変感謝している。


 というほとんど嘘で固めたものだった。

 

 だが誰も異論を唱えるものはいなかった。あの悪い噂は全て丸岡が流していたもので真実ではなかったのだという事で収まる。


 女子社員は見た目のいい怜に密かに好意を寄せる者もいたのでここぞとばかりに誉めそやした。私の目に間違いはなかったわと自慢する者まで出る始末である。


 男性社員もこれまでの事が嘘のように鷹東怜に対して敬意を示してくれる。


 レイは俄かに会社のヒーローとなったのだ。


 一番喜んだのは社長で褒美になんでも聞いてやると言われたレイは一人暮らしがしたいと申し出た。鷹東邸で一緒に暮らしたいと麗と社長から言われたがディーノと会えなくなるのが嫌だったのだ。できるならディーノと一緒に暮らしたい。


 最初は危険だと難色を示されたが横で聞いていたジャックが桃木を護衛に付ければいいと提案してそれならと社長が許可してくれた。麗は不満そうだったがレイの為に我慢すると言ってくれた。


 ジャックは桃木をレイの側に置いて監視をしたいに決まっている。レイは心底嫌だったが邸から出られるなら我慢しようと思った。桃木のことは嫌いではないし、大丈夫だろう。

 

 桃木に嫉妬しまくるディーノの事はまた別のお話し。


 しばらくして漸く日常を取り戻したタカトウ・コーポレーションではレイの前世が役に立った。デベロッパーの営業スキルを発揮して売り上げを大いに伸ばしたのだ。周りはますますレイに尊敬のまなざしを向け仕事もプライベートも順風満帆、のように見えた。


 レイが仕事を頑張るほどに次期社長の座が長兄から遠くなっていく事にレイは気が付いていない、だがこれも別のお話しである。



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【BL】三つ数えてキスを待て 日間田葉(ひまだ よう)  @himadayo

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