現無しくり

おっぱい


 彼女に告白する。そう決めて、僕は勇み足で校舎裏へと向かった。酷く暑い炎天下、植栽が密集植えられている校舎裏はほんの少しだけ涼しく、それでいてミンミン蝉がやかましかった。告白の場所として風情は無いが、重要なのは勢いである。大抵の事は勢いで何とかなるのが世の中であると、僕は誰かの言葉でよく知っているので、それに従い行く──僕は腕をおおきく振り、走った。突撃である。ああ、校舎裏で待つ彼女の姿が見えた。その一瞬で、僕のちんちんは怒張したのである。仕方あるまい。好いた女が目の前にいるのだから、それはもう物凄い勢いでバネ仕掛けが作動してしまうのである。彼女は一言で言えばグラマラスであり、俗っぽく言えばバインバインであった。おっぱいなのである。目測Iカップはあろうであるその巨躯は圧巻の一言であり、視界に入れば女子供老人誰もがおっぱいを見るであろう乳力である(にゅうりき──と読む)。その乳を生身で拝みたく、僕は彼女に告白するのである、僕は思わず駆けた。その瞬間、自分は気づいてしまった──転ぶ。体は大きく吹き飛び、頭が彼女の胸に、おっぱいに、乳に乳房にお胸の中に──時がスロゥになる──時間が止まったかのような、独特の、ゆっくりと、した、感覚。彼女のシャツ越しに、触れて、僕は、光を見た。


 宇宙だ。僕の視界は闇に飛ばされた後、宇宙の全てを見たのである。光の線が走り、いや、走る、違う。通り抜けているのは僕だ。重力で全身が歪むような感覚と頭に入ってくる何か。光、景色、生命の歴史、いや、宇宙の歴史──僕たちはどこから来て何処に行くのか。人間とは、宇宙とは、生命とは。見たことの無い景色はどこか既視感があり、懐かしかった。今はわかる。これは僕らが歩んできた時間と、これからあゆむ時間そのものだ。生まれた僕、今の僕、青年の僕、大人の僕、老人の僕、そして、死に、朽ち果てる僕。全てが、全てがわかる。そうか、こんなに当たり前のことだったのか──全ての関係性というものは!!


 目を覚ますと、僕は彼女の胸の中に倒れていた。


「すいませんでした!!特に用はありません!!」


 僕は踵を返して走り出した。告白するつもりは毛頭無くなった。冷静に考えて性欲メインは、普通に、常識的に考えて……相手に失礼だろう──?

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現無しくり @Sikuri_Ututuna

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