vs.困惑と絶望の螺旋

まめでんきゅう–ねこ

絶望からの絶望…そして望むものは?(意味深)

録丘ろくおか

「これから私の質問に答えろ、品山しなやま あきら

私はスパイだ。お前から国家の機密情報を得るために、人質を取った。

それはお前の妻だ。彼女の首元に爆弾を仕掛けた。変な事しようとしたら、今に妻は あぼーん!…だ」



「ありがとう」

↑品山













「は?」


「マジで、ありがとう」



「聞こえてんのか?お前の奥さんの首元に、爆弾があるのだぞ?私の質問に答えなきゃ、今すぐにでもドンガラガッシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンだぞ」


「うん、良いよ」

「は?…脳を爆破してある?」



「え?」

「いや気にすんな。それより、自分の妻が爆発させられるかもしれないんだぞ?

早く私の質問に答えてもらいたい」


「だから、爆発させちゃって良いよ…」

「とち狂ってる…」



「俺なんかさ、妻から嫌われてんだよね。

結婚したての頃は、なんか楽しかったんだけど、最近は会う事すら拒まれる」


「めっちゃ嫌われてんじゃんか」



「なのに向こうの質問や相談には必ず答えなきゃいけないんだよぉ!仕事中にLINE送られてきても、30秒以内に既読つけて返信しなきゃならない。

金貸せと言われた時だって、必ず貸さなきゃいけない。貸さないと追い出されるからね」



「(なんか話し方に聞き覚えがあるなぁ…なんだ?)

まぁ、それは無理すんなよ…体ぶっ壊されると こちらも要求できねぇしな。

んで質問を…」


「ちょっと聞いて!俺に無実の罪を擦りつけてくんだよ!

内には娘がいるのだが、なんか俺の部屋に刃物を置いていくし…怖いんだよぉ。

妻も、食事を一緒にさせてくれないのに皿洗いは やれ って言うしさ、誕生日も祝ってくれないどころか一時的に追い出されるしさぁ…」


「もうちょっと気を強くしてみれば?厳しくしすぎるくらいで良いと思うよ。

甘やかしてんじゃねぇの?」


「無理怖い!頼む、妻を爆発してくれ」

「なんだ こいつ」





「こんなに人に自分の思いを言ったの久しぶりだな。

それこそ小学生 以来だ」


「そうか良かったな」


「でもコミュ障の俺が こんなに話せるのは、小学校の頃 一緒だったのぞむだけだったな。

あぁ、望に会いたい」



「へぇ、そりゃ…(私と同じ名前なのか)」





「ねぇ、今日さ、飲みに行かない?」

「は⁉︎…なんで…」



「俺、もっと話したい事あんだよね。相談に乗ってくれる?」





「……………その、望とやらには相談しないのか?」



「相談しようかな…でも連絡先 知らないんだよね。

だから代わりにさ…ね」





「……………電話…でなら、相談してやっても良い。

ほれ、連絡先」


「ありがと!帰ったらすぐ連絡するね」



「お前の妻に爆弾は似合わねぇな…外しておくよ。

私にはお前がこの先どうなるか知る権利は無い。

お前が今の妻と別れるか、逃げ出すまではな」




「え、ちょっと待って、行かないで…、はなさないで」



「私と話す時は、その…交際するまでは電話だけにしてくれ。だからって、いつまでも私に電話相談するなよ。

リアルで会えるようになったら、別だけどさ」


「?…まぁ ありがとう。楽になったよ。

どうしたの、顔が赤いが…」


「やめろ…爆発させんぞ」

「……」














「じゃあな、陽」

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