番外編 Human beings

 ある国に、ヒューマンクローニングを生業にする男がいた。

 彼は高度な技術力を持ち、金さえ払えばどんな人間のクローンですら用意してくれる。

 今回の依頼は、処刑される娘の身代わりを用意して欲しいというものだった。彼は依頼者の娘の遺伝子を培養して作ったクローンを特殊で不味い栄養剤で急速成長させ、依頼者の娘と同じ年頃にまで仕立てあげた。中身の精神状態はやや幼いものの、どうせすぐ処刑されるのだ、関係はない。

 むしろ、余計なことを喋らないように、知能は低い方がいい。


 もし、賢い複製体など作ろうものなら、本物を殺して成り代わる可能性もあるのだから。

 男は、奴と同じ失敗はしない。

 最低限の情報と、依頼人の娘の趣味嗜好のみを複製体につたえ、それを復唱するように躾けた。

 どうやら、依頼者の娘はハンバーガーと珈琲が好みらしい。


 一等市民ハイランクの癖に、随分と俗っぽいものを。

 男は独り呟き、複製体の躾に戻った。


 

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最期の晩餐 ジャック(JTW) @JackTheWriter

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