第2-3 ▲ □ 準備の異世界
「やっぱり俺のオサーナは世界一だよ結婚しよう。もっとこっちにおいで」
「もう旦那さまったらみんなが見てる前でだめですよ。でもわたくしも我慢できません」
しあわせ・・・この幸せがいつまでも続けばいいのに、と何者かの気配を感じ飛び起きる。
「触らないで!!!」
身構えるとジミーが僕の事を襲おうとしていた。
「勇者様以外から触られる気配がした!!ジミーあんた触ろうとしたの!!!」
「まあ・・・起こそうと」
なんて奴だ、ナーが目の前にいるのに人妻に手を出そうとするなんて。恥を知れ。
「浮気なんて最低!!あたしは勇者様だけのものなの二度とさわらないで!!!!」
信じてた幼馴染のジミーがこんなことをするなんて、とても信じられない。か弱い僕は恐怖で涙目になってしまう。
「浮気なんかするか!!俺にはナーが居るし何より二人の仲を応援して
「「ジーちゃん浮気するの?????」」
ナーも怒って当然だ。
「今のどこ見てどれが浮気なんだよ!わかるだろ!」
「判ってるよジーちゃん♪うふふ」
ジミーは咄嗟に嘘をつき僕にイヤらしい目を送ってくる。まるで今夜の相手はお前だと言わんばかりの目だ。僕すごく怖い、助けて旦那様。
「おいオサーナいいのかそんな態度。もっとお淑やかになれエリスが見たら幻滅するぞ」
「この期に及んで脅迫なんて最低。」
怖がる僕にこの男は追い打ちをかけてくるどこまで落ちれば気が済むんだこの男は
「やめろや!お前の為に言ってるんだぞ!」
「これのどこが僕のためだっていうの!いい加減なこと言わないで!!」
何を言っても無駄なようだ。迫りくる魔の手に抗えない。
「知ってるよ!そんな態度を改めないとエリスに嫌われるから「「ジーくん浮気はダメってさっきも言ったよね???」」
「してねーって!!お前らには何が見ええてるんだよ!」
そうこうしてると勇者様がトイレに行く音が聞こえた。この時間トイレに行くということはこの後風呂に入る。
こんなことをしている場合ではない。今世紀最大のイベントがすぐそこで開催されてる。早々に切り上げなくては。
「もういい?僕だって準備があるんだから。終わったんなら行くからね。じゃあ」
自分の持てる最大の脚力を駆使してジミーの部屋から勇者様の部屋めがけて飛ぶ。
颯爽と窓からお邪魔し、音を立てずに着地する。
良い匂い。腰が砕けた。
痺れた足腰を奮い立たせ、呼ばれたのでクローゼットにお邪魔する。
あ、まだ昔の服取ってあるんだ!かわいい♡あぁ懐かしいなぁ♡と堪能してたら朝だった。
お風呂にお邪魔できなかったのは非常に残念だが当初の目的は勇者様のサポート。寝ていた勇者様を起こしちゃいけないのでそっとベッドの下に身を移し旦那様の呼吸を感じる。
じゃなくて、まずはご両親に挨拶しないと。寝ている旦那様を目いっぱい眺め、名残惜しいが朝食の準備をしているご両親の元に向かった。
「おはようございます、お義父様、お母義様」
「あらその声はオサーナちゃん、今日も平常運転ね。昨日から居たの?」
「えへへ」
「鼻血すごいよ?洗っといで」
「ではお言葉に甘えて」
心配してくれるやさしいお義父様とお義母様。この人達がご両親で本当に良かった。同居してもやっていけるだろう。そんな事を思いながら顔を洗い終わり、改めて挨拶をする。
「今日王都に旅立つので、ご挨拶に来ちゃいました」
「もう血は止まったみたいだね。お化粧もばっちりで一段と綺麗じゃないか」
「いやいやそんな、僕なんてそこら中に居る田舎娘ですから」
「うちの子と一緒になって早く孫の顔見せとくれよ」
突然頭を鈍器のようなもので殴られた感覚が全身を襲い、目の前が真っ白になりご両親の前で壮大な鼻血を吹き、多好感に包まれた。
夢みたい。ご両親公認で結婚を許された。
今後は、より一層妻の役目を果たさないと
そう決意を固くし再度顔を洗っている所で勇者様が二階から降りてきて洗面所にきた。
寝ぼけ眼で顔を洗っている。近い!!!かっこいい!!!そして良い匂い!!
思わず抱きしめたくなったが朝からそんなことをされては迷惑だろうと思い自分の気持ちを抑える。刺激的過ぎるが慣れておかないと。
洗面台を後にした旦那様が朝食を食べる。僕は後ろを付き添い食事が終わるのを待った。とても良い匂いがする。
慎ましく瀟洒に。出来た嫁だ。
「ごちそうさま」
朝食を終えた勇者様は部屋に戻る。
今後の旅に向け、私のために護身用のナイフとフォークをさりげなく置いてくれた優しい。ありがたく頂戴する。
ご自分の荷物を整え、着替えがはじまる。終始後ろ姿しか拝めないのは残念だったが、倒れなかった自分を褒めてあげたい。あとすごく良い匂い。
ベッドに目をやると脱ぎ棄てられたパジャマ。
寝巻は必要と判断しベッドからパジャマを拾い上げ懐に仕舞う。着替えを終わらせた勇者様が部屋を出るので僕もそれに続いた。
ふう、僕たち夫婦の門出を祝うかの様に小鳥たちが囀り、朝日が照らす。神様、願わくばこの平穏な幸せがいつまでも続きますように。あと良い匂い。
王都歴新月の12日
ジー君が浮気してるかも( ノД`)シクシク…
浮気なんてゼッタイ許さないンダカラ(# ゚Д゚)
オサーナチャンはどこか行っちゃうし明日の出発大丈夫ナノカナ?
アタシ心配にナッチャッタヨ(=_=)
ジーチャンにお仕置きしたらさっさと寝て明日に備えて
今日は早く寝YOト!オヤスミ(=_=)zzz
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
もしこの話が面白いと感じていただけましたら評価をお願いいたします。
とても励みになりますので宜しくお願い致します。
どうしても追放されたい転生魔王討伐 やっ @yassan312
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。どうしても追放されたい転生魔王討伐の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます