夏の思い出
「お母さーん。僕がー、飼ったらー、ダメかなー? メダカと一緒にー、きちんとーお世話するからー。ちゃんとー。勉強もー、するからー」
結局、隼太がおばさんに頼みこんで、飼ってくれることになった。
生き物を捕まえるのは上手だから教えてもらってたけど、勉強は全然出来ないし、話し方もとろくさいから、心の中でほんの少し、隼太のことを下にみていた自分がいた。そんな自分が恥ずかしくなった。
隼太の方がしっかりとものを考えている。僕は勉強だけさらっとやって、なんでもできる気になっていた。ゆっくりじっくり考えて行動している隼太は、本当はすごいんだ。
僕は反省して隼太に謝った。
「ごめん。ありがとう」
僕の特別な夏休みは、楽しくて少し苦い思い出となった。
アメリカザリガニは、その後五年、隼太に飼われていた。僕は毎年、隼太とアメリカザリガニに会いに行った。
アメリカザリガニがいなくなってしまってからも、隼太に会いに行っている。特別な夏休みが繋いだ特別な友情だ。
夏の思い出 楠秋生 @yunikon
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