カクヨムのトリ殺害事件(KAC20245作品)

さんが(三可)

カクヨムのトリ殺害事件

 大草原の中に、俺は一人立ち尽くしている。周りには何もない。360度、どこを見渡しても草原が広がる。太陽は無いのに、明るい世界。


 もしかして、俺は死んだのかと思った。半信半疑で、夢にも思える。頬でも抓ってみようかと思った。


 しかし、その必要は無かった。目の前に、巨大な鳥が落ちてきた。その衝撃で大地は抉られ、土や石が弾け飛ぶ。


 夢なんかじゃない。咄嗟に顔を腕で隠したが、その腕には無数の傷。そして、ジワリと感じてくる痛み。しかし、それよりも何が落ちてきたかが気になる。


 出来たクレーターの中には、頭に3つの鶏冠があるが、正面から見ると河豚にも見える奇怪な鳥。それは、間違いないカクヨムのトリ。 マスコットとしてしか見たことが無かったが、実物は巨大で3m以上はあるだろう。


 落下の衝撃のせいなのか、頭から血を流しているカクヨムのトリ。だが、そんなことは問題ではない。胸に深々と刺さった幾つもの刀や槍。それが、カクヨムのトリを落下させた原因。


「大丈夫か? カクヨムのトリ?」


「お願い、蝶ネクタイの……中を」


 トリの弱々しい声ではあるが、自身の体よりも重要なものが、蝶ネクタイを心配している。


 その蝶ネクタイの中から出てきたのは、「KAC2024のお題」と書かれた1枚の紙切れ。




1回目:「書き出しが『○丸には三分以内にやらなければならないことがあった』


2回目:「海の無い県」


3回目:「矛」


4回目:「やさぐれ」


5回目:「はさまないで」




 俺の知っている「KAC2024のお題」とは、少し違う。


「これを、皆に伝え……弟達を……た……す」


「トリ、運営にやられたのか? お題に何か秘密があるのか?」


 僅かに頷くが、ここでカクヨムのトリはここで力尽きてしまう。


 慌ててスマホをポケットから取り出す。電波は繋がっているし、もう5回目のお題が発表されている時刻。


 発表された、5回目のお題は「はなさないで」。「はなさないで」と「はさまないで」。やはり、少し違っている。



 「KAC2024のお題」の秘密を知ってしまった私は、トリと同じ運命を辿るのだろうか。だが、これはカクヨムのトリが命懸けで守った、カクヨムの秘密が隠されたメモ。


 残るお題は、3つ。もし、私が謎を解くことが出来ずに、命が絶たれたとしても、誰かが謎を解き明かすかもしれない。


 そう願って、この作品を残す。

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