【KAC20244】ささくれ。

ナカナカカナ

ささくれよ

「ささくれ。おい、ささくれー」

 

 ある日、森の中で声をかけられた。

 

「あ。おい、アンタ! ささくれ。ささくれよー!」

 

 声をかけてきた者は非常に可愛らしい……オレンジ色の毛で目がくりんとしたレッサーパンダだった。

 

「なんだ……レッサーパンダも笹を食うのか?」

 

「なに言ってんだ! パンダだぞ! 笹を食うさ!」

 

 可愛らしい見た目のレッサーパンダ。怒っているのだろうが、その姿も非常に愛らしい

 

「ふん! 皆、パンダ、パンダって……元々パンダと言えばボクらのことだったんだぞ! なのに……今やパンダと言えばジャイアントパンダさ。あんなヤツらクマだぜ?」


「そうだな。アイツらはクマだ。でも可愛いからな、ジャイアントパンダは」

 

「ボクらだって可愛いいさ!」

 

「覚悟が違う。ジャイアントパンダがなぜ笹を食うか知っているか?」

 

「え? パンダだから食べるんだろう? 笹が好きだからさ」

 

「いいや、違う。かわいいからさ。かわいいから、本来肉食のパンダは無理して笹を食べている。無視して食べているせいで自分のウ〇コまで食べなきゃいけない」

 

「え? ウ〇コを!?」

 

「そうさ。君に出来るかい?」

 

「ウ〇コ……無理だよ……ボクには無理だ……ただかわいいって思われたいだけでウ〇コなんて食べられない……」

 

「その通り。君は元々可愛いからね。そんな無理をする必要はないさ。ただ……」


「ただ……なんだい?」


「ただ、知っていて欲しいんだ。彼らがただコロコロしたりタイヤにじゃれついているだけで可愛いとおもわれてるんじゃないってことを」


「うん。分かったよ。ジャイアントパンダの可愛いさは覚悟と決意の賜物なんだね。ねえ……」


「ん? なんだい?」


「ボク……ジャイアントパンダと仲良く出来るかな?」


レッサーパンダはつぶらな瞳でこちらを見つめる…。そう元々可愛い彼らに努力など必要ない。

2本足で立ち上がるだけで大人気だ。

しかし、忠告だけはしておこうかな。



「……食べられちゃうからやめておきな」



 

 

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