ささくれを探して

にゃべ♪

ささくれは金になる

 男はドラゴンを探していた。多くの冒険者が求めるのはドラゴンの守る宝だとか、ドラゴンを倒す名誉だとか、ドラゴンの体の素材とかだろう。男もまたドラゴンの体の一部を求めていた。

 それは、ドラゴンの指に出来るささくれ。


 男の住む国では、ドラゴンのささくれに様々な使い道があると高価で取引されている。やれ万能薬になるとか、やれ魔法の触媒になるとか、何日も眠らずに働ける薬の原料にもなるらしい。

 そんな訳で、一攫千金を狙う冒険者達はドラゴンを探すのだ。


 男もまた冒険を続け、何度も辛酸を嘗め、ボロボロに傷つきながらもついにドラゴンを発見する。気配を消して、巣の中でスヤスヤと眠る巨大な飛行生物に近付いた。

 しかし流石は魔物の王、後もう一歩の所で目覚めてしまう。


「何だお前」

「ささくれをおくれ!」


 男をうざがったドラゴンは空に飛び去った。しかし、男はドラゴンにしがみついていたのだ。そのまま耳元にまでにじり寄るともう一度懇願する。


「頼むよー! ささくれをくれよー」

「……」


 結局、男は上空で振り落とされた。


「うわあああ! 死ぬううう!」


 ちょうど落下地点には巨人がおり、男は彼女に助けられる。大きくて柔らかい手のひらの上で、男はその大きな指のささくれに注目した。巨人のささくれも何かの素材になるかも知れないと思ったのだ。


「このささくれ、くれないか?」

「いいよ!」


 実はその巨人はささくれをコレクションしており、いくらでも提供出来ると言う。男は売れたらその報酬の幾らかを支払うと約束して、ささくれを受け取った。

 無事に国に戻った男は、早速手に入れた巨人のささくれを鑑定士に診てもらう。すると、ドラゴンのささくれとまでは行かないものの、かなりのポテンシャルを秘めたものだと判明。

 男はその結果をもとに営業をかけ、巨人のささくれは結構な金額で取引された。


「やっぱりささくれは金になるぜ」


 男は誰にも入手方法を明かさず、それからも巨人と交流している。

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ささくれを探して にゃべ♪ @nyabech2016

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