私の事を見てるフリをして、他の子なんか見ないでよ!

神石水亞宮類

第1話 私の事を見てるフリをして、他の子なんか見ないでよ!




“私の事を見てるフリをして、他の子なんか見ないでよ!”


これは、私の彼氏の事だ!

彼はいつも私にこう言う。


『俺が好きなのはお前だけだから、なんも心配しなくていいからな。』



そうやって、“何十回も私を裏切ってきたじゃない!”

私の事だけ見てるのに、なんで他の女の子と浮気してんのよ!

そもそも何処で出会って、そういう関係になるの?

彼はなにしろ、人懐っこいというか、、、?

男でも女でも直ぐに仲良くなる性格。

それに比べて私は、人見知りで口下手で自分から積極的に話せない。

だから私は彼のそういう所に惹かれたのかもしれない。



・・・でも? 実際に彼と付き合ってみると。

めちゃめちゃ優しいのだけど、どの女の子にも彼は優しいから、

どこか彼を私は信じられなくて、彼をずっと監視してしまう。

彼には内緒で彼の携帯にGPSも入れたし、彼の男友達にも

協力してもらい彼の周りの女関係の話を聞いたり、彼の一日の行動を

私は全て知りたい!

だからそうなると、彼の浮気癖の悪さもあからさまに分かってしまった。

“知らなくてもいい事まで私は知ってしまったの。”

彼は私に隠れてほぼ毎日、“浮気を繰り返していたこと。”

しかも? 毎日違う女と......。



『“今日は、どの女と会うの?”』

『えぇ!?』

『私、知ってんだよ。』

『・・・何が?』

『“私と会ってない時は、誰と浮気してるの?”』

『・・・はぁ!? 浮気?』

『浮気してるんでしょ! 白状してよ!』

『・・・白状って、何をさ!』

『全部、私は知ってるんだからね!』

『だから何を?』

『隆聖が私以外の女と浮気してる事よ!』

『してないよ、俺が浮気する訳ないだろうが!』

『ほら、携帯貸してよ!』

『えぇ!? 急になんだよ!』

『“GPS”』

『えぇ!? なんで俺の携帯にGPSが入ってんの?』

『・・・ごめん、私が勝手に入れたの。』

『・・・な、なんで?』

『隆聖が浮気なんかしてなかったら、こんな事になってなかったんだよ!』

『だから俺は浮気なんかしてないって!』

『でも、ほらこれ!』

『・・・あぁ、これか?』

『何よ、これかって?』

『ごめんな、朝美に黙ってて! 俺さネイルサロンで働いてんだよ!』

『えぇ!? ネイルサロン?』

『俺、男だけど! 手が器用っていうかさ、昔から細かい作業とか好きでさ、

大人になってネイルサロンにハマって! でさ、これを仕事にしたいって

思って、思いきって面接を受けたら受かっちゃって! で、今の店で俺、

働かせてもらってんだよ!』

『・・・そ、そうだったの、』

『あぁ、ごめんな! なんかいろいろ迷惑かけてたみたいでさ。』

『“良かった、隆聖が浮気してなくて、”』

『なんで泣くんだよ! でも俺も黙ってて、ごめん。』

『・・・ううん。』

『俺は浮気なんてしてないから。』

『うん!』




・・・まさかまさか? “彼がネイルサロンで働いてるなんて私は何にも

知らなかった。”

確かに彼は、細かい作業が好きで! 裁縫が得意だし、刺繡の作品も作って

いたぐらい女性がするようなモノに興味があるらしい。

だからなのか? 家の事はほとんど彼がしてくれる。

料理や洗濯、掃除や買い物までなんでも。



そんな彼がネイルサロンで働いていてもなんだかおかしくないと私は思った。

まあ、浮気はしていないと分かっただけでも良かった事ではある。

これからは彼を信じて! 彼の好きなようにしてあげよう。

それが“お互い上手くいくコツなのかもしれない!”

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私の事を見てるフリをして、他の子なんか見ないでよ! 神石水亞宮類 @kamiisimizu-aguru

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