第18夜 ジョニーのコト、ダンテのコト

ここはダヂオの町、ジョニー達のたむろする店。






「誰か那波斗なはとに伝えてくれ、ヒールへの仲介の仕事頼むってな」




そうジョニーが後ろの奴らに右左と顔を向けて酔っぱらいながら指図すると、後ろにいた2人くらいが動いて建物の奥に行った。


小学高学年くらいの子供の声が聞こえたかと思うと、さっきの2人が奥の方から戻ってきてジョニーに呼びかけた。




「今ガキ達に那波斗とテンを探しに行かせたんで!!!!」




それを聞くと、ジョニーは脚を組んで椅子をぎいぎい鳴らしながら煙草のような物をくゆらせると、




「おう、ナルハヤでな」




と言うと、奥の方に行っていた仲間2人が




「そう言ったぜ!!!!」




とジョニーに返し、ジョニーはエスカーと裕生に




「今日はここに泊まってけ…治安悪いけど大丈夫そ?」




と冗談っぽく聞いた。


2人は




「「大丈夫です!!!!」」




とヘラヘラ答えた。


裕生は




(本当に治安悪いんだろうな~~~~、心の準備あんま出来てねぇなぁ…)




と心の中で思った。


















その夜、ジョニー達のたむろする所の2階の薄汚い部屋でエスカーと裕生はベッドに入りながらジョニーの話をした。






「いい人って言うけどエスカー、ジョニーって人見るからに悪そうなんだけど…どこら辺がいい人なわけ?あの人結婚してんの?」


「いい人だよー、俺の面倒見てくれるし、俺を使ってくれるし。お金儲けさせてくれるからねー!!!!結婚はしてるよ、奥さんと男の子が1人いるよ。家庭崩壊してるけど」




それを聞いた裕生は




「家庭崩壊してんのかよ…それのどこがいい人なんだよ」




と突っ込んんだ。


それにエスカーは、




「俺達には良くしてくれるからねー、見て見ぬふりするっしょ。奥さんと子供を強制SМしてるしレイプ魔だし子供に体使って金稼ぎさせてるらしいけど」




と答えた。


それに裕生は




「はっ!!!!はあっ!?!?!?!?」




と驚きを隠せなかった。


当たり前の反応であるが、これがこの国のリアルである。


裕生のいる日本でもこういった事があることは何となく知ってはいたが、異世界に来てこういうことに出くわすとは思っていなかったのでどうしていいか分からなかった。




「お、お前、それでもジョニーさんのこといい人って言うのかよ!?!?どう聞いたって悪い奴じゃねーか!!!!」


「仕方ねーだろ、そういう奴なんてごまんといるって。特にこの町ではね。ジョニーさんのとこはまだいいとこじゃねーかな?金が貰えるんだ」


「~~~~!!!!」




裕生は自分の正義感の所為で腑に落ちないところはあったが、社会とはそういうものなのかな、とも思った。




「…俺は紗生を見つけたい。お前の、弟に会って何か知ってれば教えてもらいたい」


「そーだよねぇ」




2人はそう言い合って眠りに就こうとした。


だが裕生はこう思った。




(紗生を探し出したら、ジョニーの奥さんと子供を助けよう)




若さだった。


裕生は若さ故に危険に突き進もうとしていた。




本気で自分で何とかしてあげようと、裕生は思った。


ジョニーの奥さんと子供の顔も年齢も知らないのに。


















ここはヒール総本山3番隊組員の寝床の洞窟。




筋肉痛も少しマシになってきて少し歩けるようになった紗生の傍らにはダンテしか残っていなかった。


ジャンとフェインはそれぞれ自分の隊の(フェインは2番隊組長である)組員達と仕事(追い剥ぎ)に出かけ、華留美はジャン達4番隊の寝床である紗生のベッドのようなベッドの近くの掃除やベッドメイキングをしていた。




「ダンテ君は仕事に行かなくていいのか?何かすることがあるだろう。無理に私の傍にいることはないんだよ」


「…俺、ルドさんがいない時は基本的に自由なんだよ」


「そうなのか?いつも何しているんだ?私が来る前は何をしていたんだ?」


「んー?姐さん達のところで色々するけど」


「色々?例えば?」


「例えば?…こんなこととか」




そう言うとダンテは紗生をベッドのようなベッドに座らせ自分は靴を脱ぎいきなり紗生の膝に乗り抱き着き紗生の唇にチュッと軽くキスをした。




「はっ!?!?!?!?」




いきなりのことに紗生は目を白黒させ、刹那顔をボッと赤らめた。




「いつもこんなこと教えてもらってるけど?それがどうかしたの?」


「それがどうかしたって…」




紗生はいきなりのことに頭が真っ白になって、その間にダンテは手首、紗生の下腹の下のところ、靴を履いて足首にもキスをした。




「良かったでしょ?」




ダンテは可愛らしく上目遣いで見てくるが、紗生はものすごく悲しくなって目に涙を浮かべた。




「ダンテ君…………」


「こうすると色々物が貰えるんだ!!!!」




とダンテは何食わぬ顔で言い放った。




ダンテ君はその「姐さん」達に性犯罪に遭っている!!!!




紗生はそう思うとその「姐さん」達をどうにかしてやろうと強く思った。


今は筋肉痛で何も出来ないけど、体の筋肉が元に戻ったらアザムにもその事を聞いてもらって、あわよくばその「姐さん」達を変えてやろうと思った。




「…ダンテ君、君はまだ子供でそんなことをしちゃいけないんだよ」


「何で?これやると皆良くしてくれるよ?」


「何でもだ。もう誰にもそんなことをしないでくれ…」




と紗生はものすごく哀しい目でダンテを見つめた。


ダンテは、何かダメなことをしたのかな?と思い




「何だよ…ちぇっ」




と言ってどこかに行ってしまった。


紗生はものすごく哀しい気持ちになりながら、徐に唇に手を触れ頬を赤らめながら脚や腕、腰や背中を揉んで少し歩いてみた。


















ここは妖精村、ベルデの住処。






男の娘の談義が済んだ一同は、モブ妖精も含めベルデ宅で食事を済ませ、魔法の伝授は次の日にすることになった。




「僕達はどこで寝たらいいんですか?このお宅はベルデさんのお部屋しかないようですが…」


「土間に布団敷くわけにはいかないしね…」




と弟子2人が口々にベルデに聞いた。




「寝床か?今作ってやるよ」


「は?」




訳の分からないことを言うなと弟子2人は思ったが、即座にこの人は魔女だしな、と謎に納得した。




「あ、ああ…どうやって寝床を作るんですか?魔術ですか?魔法ですか?」




とザムザがベルデに聞くと




「居間に寝てもらう。ベッドを作らんとな…。スミレ、エナ、妖精達、お前ら手伝ってくれ」




そうベルデが妖精達に言うと、はあ~~~~????といつものスミレの反発が来たが、それをいつものようにエナがまあまあと宥め




「で?何すればいいの?藁でも持ってくるの?」




とベルデに聞くと、ベルデは




「うむ、藁でもいいか…じゃあ藁と、木材も必要じゃな。木材もベッドを作るくらい有る所に行っとくれ。あとかけ布団が必要じゃな。綿があるところにも行っとくれ、あと余ってる布をありったけ集めとくれ」




と妖精達にお願いした。




「はあ~~~~めんどくせえなあ、でもザムザ達の為だから仕方ねっか!!!!」




とスミレが頭の後ろで手を組み足を組みパタパタ飛んでいると、ザムザがすみません、と言った。




「まあ、いいよ。あんた達は人間だしね。ほら、スミレ、みんな、行くよ!!!!」




そうエナが言うとスミレがおう、他のモブ妖精がはーい、と言いながら光を放ち消え失せた。


材料のところに行ったのだ。




「あの、ベルデさん、材料を皆に見つけてもらってその後はどうするんですか?魔法でベッドを作るんですか?」




とラムソスがベルデに聞くと、ベルデが




「そうじゃな、魔法と言うか…魔術かの。魔法陣を描いてその上に材料を置き、等価交換の魔術で完成させる。魔法と言うより魔術じゃ」




と言い、2人は




「よく分かりませんが…」




と続けた。




その後妖精達の声がベルデの脳内に届き、ベルデは妖精達に少し待ってもらって台所に魔法陣を石灰で引いた。


その後その上に聖油を垂らし火を点けると、妖精達に材料を送るように言った。




妖精達の力で魔法陣に次々と材料が届く。


数10分後に妖精達がベルデ宅に帰ってくると、ベルデは居間に2つのベッド用の魔法陣を描いて待っていた。




皆でその魔法陣の上に出来るだけ均等になるように皆で材料を運ぶと、ベッドが最初に出来その上に藁を敷き、そして魔法陣でかけ布団を出すと漸く終わった、とまた皆で一服をして食事の仕度をし、食卓を囲んだ。




そうして妖精達がそれぞれの寝床に帰ると、ベルデは自室に、弟子2人は出来立てのベッドでそれぞれ眠りに就いた。




眠りに就く前に何事か話して、そして2人は眠りに就いた。


案外寝心地はそれなりに良かった。

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時の破壊者~亡国の救世主[メシア]と戦士たち~ 辻澤桐子 @kirico612

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