その匣は、今もそこに在る
- ★★★ Excellent!!!
知ってはならない。
知らぬ限り、その災厄は訪れない。
そぼ降る冷たい雨の中、蓑笠を着たモノが
行く山路、その硲に置かれた寺での譚。
八角形の御堂に住まう者『黒い焔』より
人々を守る。
災厄は、その匣の中に。
知ってはならない。知らぬ限りは ──。
思い出そうとすると痛み出す。
存在しない匣の中。
【硲ノ箱─『知ってはイケナイ。』
─目録 弍】
この連作よりまろび出た 匣
寺を守る者たちの穏やかな日々は
忘れられた匣の記憶と共に。
森閑とした静謐さの漂う気品ある掌編。