第37話 勝利の宴

ジャンクローバ―王国の街中の広場では大きな処刑台が設置され、アドニスの指示の元、王族が一人ずつ処刑されていく。

それを大勢の国民が見守っていた。


「最後はあなただけです。王よ」


アドニスが小さい声でそう言うと王はすっかり痩せこけ、生気のない顔でアドニスを見る。


「アドニス、私は何を間違えたのだ・・・」


「・・・」


アドニスは王の目を見ながらゆっくりと口を開く。


「魔神様を侮ったことです。魔神様はもはや私達の手に負えるものではありません。これからも人間の国は次々に滅ぼされていくでしょう。たまたま最初に滅ぼされたのがジャンクローバー王国だっただけのことです。私達は運が悪かっただけですよ」


「そうか、それなら仕方がないな・・・」


王はそう呟くと処刑台に首を乗せる。

しばらくすると大きな刃が落ちてきて王の首を跳ねられた。



「きゃああああ!!さすがザラス君ね!」


何もない空間でギレイアはザラスの活躍を見て、飛び跳ねる。


「転生してすぐに気絶しちゃったのは驚いたけど、しっかり人間を殺せているみたいで安心したわ!」


ギレイアは笑いながら呟く。


「これで神の連中も大騒ぎしてるはずよ。帝国、宗教国、魔道国・・・。人間の国はまだまだたくさんあるわ。それを一つずつ滅ぼしていけば必ず天使が出てくる。そして天使の数が少なくなれば私もに行けるわ」


自分が転移させたザラスの顔を思い浮かべる。


「天使は強いかもしれないけど、私の力を使えるザラス君なら大丈夫。だからそれまでは魔王達と協力しながら、人間を殺してね」



俺達は生き残った吸血鬼達を連れてオルブラッドに帰還した。


「聞け、忠実なしもべ達よ!お前達のおかげでジャンクローバ―王国を滅ぼすことができた!これからは人間の血は飲み放題だ!」


俺はオルブラッドの吸血鬼たちを城の前に集めて演説をしていた。


「うおおおおお!!」


「ザラス様!!」


俺の演説に答えるように吸血鬼達は声を上げた。


「今日は宴だ!存分に楽しめ!」



演説が終わり、城の中へと戻る。

食堂に行くと、ステラ、メルレイアがいた。

テーブルの上には豪華な料理が並べられていた。


「ザラス様!演説お疲れ様です!」


「お疲れ様、早く食べましょうよ!」


「ああ、そうだな」


メルレイアに促され、席に座る。


此度こたびの戦争で勝てたのはお前達のおかげだ」


「「ありがたきお言葉」」


ステラとメルレイアが頭を下げる。


「さあ、乾杯しよう」


周りにいた吸血鬼達がそれぞれのワイングラスに酒を注ぎ始める。

俺がワイングラスを持ち上げると、ステラとメルレイアも同じようにワイングラスを持った。


「これからも俺達、魔物の発展に・・・、乾杯!」


「「乾杯!」」


俺達は同時にグラスに口を付け、酒を飲む。


「それにしてもザラス様はすごいわね!たった一人であの人数を相手に圧勝するんだもの!」


「ええ、私も血まみれで立っているザラス様を見たときは驚きました」


ありが何匹集まろうと俺の敵ではない」


「さすが私の主様ね!」


俺が料理を食べようとした時、メルレイアが椅子を持って俺の横に来た。


「ザラス様!私が食べさせてあげるわ!はい、あ~ん」


メルレイアがフォークを肉に刺し、俺の口に持ってくる。


「なっ!メルレイア、今すぐやめなさい!」


ステラが机を叩いて立ち上がり、メルレイアを睨みつける。


「嫌よ。あんな腹黒女は置いといて・・・、ザラス様、あ~ん」


俺は口を開けると、肉が口の中に入って来た。


「ふふっ、美味しい?」


「あ、ああ。美味かったぞ」


「良かった!うちのコックもザラス様に褒められて幸せね!」


メルレイアが嬉しそうに笑う。


「ぐぬぬ・・・」


ステラが拳を握り、恨めしそうに俺達を見る。


「わ、私だって!」


ステラが椅子を持って俺の横に来た。


「ザラス様!はい、あ~ん」


ステラもメルレイアと同じように肉を俺の口元に持ってくる。

先ほどと同じように口を開けて、肉を食べる。


「ちょっと真似しないでよ!ステラはあっちで食べてなさいよ!」


「は?メルレイアこそ一人で寂しく食べていて下さい」


二人が俺を挟んで喧嘩し始めたので、俺は大きくため息を吐く。

しばらく喧嘩した後、交互で俺に食べさせる事になった。


まあ、こいつらのおかげでジャンクローバー王国に勝てたのだから今日くらい好きにさせてやるか。


しかし、天使か・・・。

本体の天使はどのくらい強いのだろう。

それにアップデートするとか言っていたな


人間達も今まで以上に強くなる。

これからの戦争は一筋縄ではいかないだろう。


早く他の魔王達にも声を掛けなければな。

俺自身ももっと強くなる必要がありそうだ。


俺は唇の端を吊り上げる。


「ザラス様?どうかなさいましたか?」


「いや、これからまだまだ人間達との戦いが続くと思ったら嬉しくてな・・・」


「私もザラス様が活躍する姿をもっと見たいです!」


「そうね。私ももっと強い奴と戦いたいわ!」


ステラとメルレイアが嬉しそうにしている俺を見て、同じように笑う。


戦いたい。それが俺達、魔物の本能だ。

こいつらがいればこの世界を征服するのも夢ではない。


待ってろ天使ども、お前達も必ず皆殺しにしてやる。





【あとがき】


ここまでご愛読いただき、本当にありがとうございました!


『魔神になって異世界征服~俺が気絶している間に召喚した最強の魔物達が戦力拡大してたので人間相手に無双します~』はここで完結になります。


読者様の反応は必ず目を通しておりますので、面白いと思った方は★評価いただけると励みになります!


これからもファンタジー系の小説を執筆していきますので、もしよろしければ作者フォローしていただけると嬉しいです。


『貞操逆転世界で恋愛攻略アプリを使ったら、美少女達がヤンデレ化した』


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現在はラブコメも連載中ですので、こちらも読んで頂けると嬉しいです。

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魔神になって異世界征服~俺が気絶している間に召喚した最強の魔物達が戦力拡大してたので人間相手に無双します~ 壱文字まこと @kmd769

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