…気持ち良くて、やめられないんだ…

タカナシ トーヤ

我慢できない男

高層ビルが立ち並ぶ繁華街に、俺の会社はある。

俺はk本達夫。有名大卒サラリーマンだ。

会社ではプロジェクトマネージャーに登りつめ、部下もたくさんいる。

飲みにいけば、部下の分まで払ってやるし、わからないことは何でも教えてやる。

だから、部下からも慕われている。


そんな順風満帆な人生の俺だが、1つだけ困っていることがある。


俺は、「アレ」を我慢することができない。


そう、「アレ」だ。



家でも、手持ち無沙汰になるとついやってしまう。

部屋でも

トイレでも

お風呂でも



それでも物足りない時は

会社でも

親戚の家でも

電車の中でも



誰にもバレないように、ついこっそりやってしまう。




人に見られたら恥ずかしいことくらい、俺だってわかってる。




でも、あの気持ちよさには変えられない。

あれをした瞬間、


すっきりして


気持ち良くて


幸福感につつまれる。


そして、ついついもう一度その気持ちを味わいたくなるのだ。



誰もみていなければ、好きな時にアレをできる。

だが、人目のある場所では、そうもいかない。


それでも、俺の「アレ」への欲求は抑え切れない。



俺は、昼休み、ほとんどの社員がランチにいった隙に、会社の机の下で、他の社員にばれないようにこっそり静かに「アレ」をした。





----------------




朝早く。


事務員たちは会社の掃除をしていた。

新卒事務員の明里が、ベテラン事務員の範子に聞く。


「範子さん、なんか、K本さんの机の下に、いつも白いちっちゃいゴミが沢山落ちてて、カーペットから全然とれなくて大変なんです。これ、一体なんなんですかね?」


そう言うと明里は、コロコロにくっつかない、床に落ちた小さな小さなゴミを、ネイルをした綺麗な白い手で一生懸命拾い続ける。



「あぁ、それね、私も気になってるけど、なんなのかしらね。お菓子のゴミとかじゃないかしら。」

範子は目を逸らして答えた。






ー範子は本当は気づいている。それが、K本が毎日剥いている【ささくれの皮】である事をー



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

…気持ち良くて、やめられないんだ… タカナシ トーヤ @takanashi108

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ