女子だけが通える魔法学園で女装をして通うことになった僕

Re:未定ション

第1話 始動!!葛城 悠、女装始めます!!

日本のとある場所の大きな屋敷の和室で僕は正座をして一人の男と向かい合っていた。


「親父…今なんて言った?」


目の前で偉そうにあぐらをかいて腕を組んでいるハゲの男は『葛城 玄間(かつらぎ げんま)』僕の親父である。


「星城学園に通って、この子を護衛しろ」


やはり聞き間違えでは無かったか。

親父は懐から一枚の写真を床において差し出してきた。


見ると日本人離れした綺麗な金髪な中学生くらいの女の子が写っている。

この子を護衛するのは分かった。


分かったけど……


「おい…星城学園は女学園だぞ?どうやって僕が通うんだよ」


待ってまっしたとばかりに親父はニヤリとイヤらしい笑みを浮かべた。


「女装すれば良いじゃないか?悠、お前は顔は母親に似て綺麗だし、背は女としては少し高いが華奢じゃないか」


「おいっ…それは僕が男として小さいって言いたいのかっ!」


「違うのか?」


「……平均より背が低いだけだよ…ほらっ、腕に筋肉だってっ!」


腕に力を入れて力こぶを作ろうとする。


「…ぶふぅっ……力こぶも何も出てないじゃないか」


「うるさい…それに学園には僕じゃなくて詩織に行かせればいいじゃないか」


「お前は妹を危険な目に遭わせたいのか?それにまだ十四歳だぞ?年齢的に通えないさ」


それはそうだけど……それなら僕は男なんだけど??

それに対しては疑問は持たないのかなこのハゲ親父は。


「今更十八の僕が学園に通ってどうするのさ?星城学園は最強のセキュリティを誇るって有名じゃないか…護衛なら外でもできるだろ?」


「どうやら奴らが動いているらしい…正式な手順での入学故に誰が刺客か分からない状況だ」


「なら、他の女性の魔法使いに護衛させればいいだろっ!」


「うむ……お前は三十路をこえた女に制服を着て学園に通えって言えるのか?どんなプレイだよ…可哀想だろ?」


あー……流石にその言い方は可哀想だけど、確かにお姉様方は学生には見えないな…


「だけど…だけどぉ…本当に僕じゃないと駄目なのか?」


「諦めが悪いな…男だろ?腹決めて女装しろや!仕方がねぇな…詩織っ」


突然ふすまが勢いよく開けられた。


「はいな!兄さんが女装するって聞いて飛んできました!こちらなんて兄さんに似合いそうで素敵ですよ?」


詩織が取り出してきたのはフリフリのメイド服だった。


「だっ…誰がそんなの着るかよぉ!というか、いつからいたんだ!」


僕は印を結び加速の術式を使って逃げようとする。

だけど、詩織と親父の減速の術式によって僕の速度は普通の人より少し早い程度になった。

そのため、親父の簡易の"停滞"術式で動きを簡単に止められてしまった。


こんなとこで"概念"系統の魔法使うか普通!?


「兄さん…諦めてください♡メイド服が嫌ならこれもありますよ?」


「ほほぉ…バニーガールかぁ~おっ?…それにナース服もあるぞ?」


「ふふふ…お父様も良い趣味してますね」


「詩織こそぉ…メイド服もバニーガールも良い選択だ…さぁ悠、何を着る??」


ジリジリと二人はメイド服とバニーガールの衣装を持ちながら近づいてくる。


「あぁっ……やめぇ…やめてぇぇぇええぇぇぇぇえぇっ!!」


***********


僕はポロポロ出る涙を腕で何度も拭っていた。


「…っ……どうしてこんな事にっ……」


僕は何とか?抵抗をしてメイド服やバニーガールを回避していた。

その代わりに詩織に顔をメイクされて、服は星城学園の制服を着せられた。


そんな完全に女装している僕を見て二人はなにやら感嘆したように息を吐いた。


「はわぁ〜兄さんとっても綺麗ですっ」


「おぉ…悠、お前他の女の子と比較しても特に美少女だぞ?正直詩織よりも可愛いな…」


「お父様酷いです……でもその気持ちはわかります!兄さんも見てみてください!」


手鏡を渡されたので、自分の顔を写してみる。

するとそこには、濡れ羽色の綺麗な髪と紅くしっとりとした唇。

瞳は涙ぐんでいて情けないけど庇護欲を誘う、そんな美少女がそこには居た。


え??

これ、僕なの?

凄い……お母様みたいに綺麗だ。


それに…制服も相まって、清楚な大和撫子の葛城 悠(♂)※女装の誕生の瞬間でもあった。


「兄さん…自分の顔に見とれていますねぇ…ふふっ」


「これなら星城に通っても問題ないなっ!いやーこれでアイツとの約束を守れる」


「僕が女装して学園に通うのは決定なのかよ…はぁ、それで?その護衛の件について事情を聞こうじゃないの」


というか約束ってなんだよ…


「そうだな…御三家の一つ、天道家の名前は知っているな?」


先程までの緩んだ空気が嘘のようにハゲの親父は座布団に座り直した。


「あぁ、その他に不動と葛城が御三家だろ?そんでその天道がどうしたんだよ?」


「天道の野郎が…野郎が自分の娘を自慢してきたんだよぉっ!!」


「……はぁ?それと僕の女装になんの関係があるのさ」


「う、うむ……実は」


親父は言いづらそうに説明しだした。


なるほどな…天道の一人娘が特異点に選ばれたと。

"星読"の婆さんがそういうなら間違いないだろうが…


確かに特異点に選ばれたら各国からその命とその体を欲しがる連中は多いだろうな

なにせ、特異点とは霧の魔物に対する特効薬みたいなもので、特異点に触れられた霧の魔物は抵抗もできずに消えてしまうくらい特殊な魔力をその身に宿している。


親父と天道家の当主が話し合った時に星城学園に入学させる件についての話題が出たらしい。

その時に娘さんが可愛いから誰か年の近い優秀な護衛につける女の子を探していると聞いた。

その際の報酬が貴重な幻龍の髭と鱗と牙で作られた一振りの刀だから、そこでつい僕が女の子だと嘘をついて護衛をさせる事になったと…………


つまり、親父のせいじゃないかっ!!

報酬欲しさに息子に女装させる親とかなんなんだよっ!!



「なぁ……これ親父が悪いよな?詩織」


「はい、お父様が悪いです…兄さんを騙すなんて…」


いや、お前も楽しそうだったけどな?

お兄ちゃん少し詩織の見る目が変わっちゃうところだよ??


「というわけで…報酬のその刀を僕に頂戴♡」


「はぇっ…お前には【結(むすび)】があるだろ!それ以上の刀なんて無いんだからな!」


「刀は何本あってもいいだろ?」


少し動揺しているな…

まぁ、今の僕はとてつもなく美少女であるから不本意だが少し甘えるようにお願いしたら簡単にくれそうだ。


「ねぇ?おねがーいパパぁ♡…僕その刀が欲しいなぁー?」


「うっ……わかった」


「うわー…流石にこんな兄さんの姿は見たくなかったです…妹として複雑な気持ちを抱きました」


親父は渋々次元の扉を開いて一振りの刀を僕に差し出した。


「ありがたく頂きます!」


「受け取ったからにはちゃんと女装して彼女を守れよ!」


「分かってるよ」


この日から学園に通うまでの間、詩織にメイクと服装の身だしなみ、女性らしい所作などを叩き込まれることになる。


それにしても…特異点の少女。


『天道 輪音(てんどう りんね)』か…

どんな子なんだろうな?


護衛対象とは出来るだけ関わりたくないから、僕は陰ながら彼女を守るとしよう。



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この作品を読んでくれてありがとうございます!


この作品は少しでも面白いと思ってくれたら、是非評価の程をよろしくお願いします!!


少しずつ一話一話文字数は少ないかもしれませんがご自愛ください……!

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