「もう知ってるよ。そんな事。」

オレンジ

ロウという親友。

 俺にはロウという、親友がいた。


 なぜ仲が良いいのか。覚えていない。



『記憶を消された。』



 小学校、中学校、高校、大学。ずっと一緒にいた。

 もちろん、何かあれば相談するのはロウだった。


 中学校の時、下校中に俺はある質問をした。何気ない質問だ。


「ロウは何で俺と一緒にいるんだ?」


「だって、僕、君の事スキだもん~」


 そりゃ、好きじゃない奴の所に居ても楽しくはない。俺はそれを聞きたいのではなかったのだが、ロウが新しい話題を振ったので、それ以上は何も言わなかった。



『それ以上言わなくて良かった。あれ以上言うと俺は連れ去られていただろう。』



 あとは...高校生の時、俺が殴られた時、庇ってくれた。あの時は親友だからと思っていた。



『本当は違った。俺を無事に連れ去るためだった。』



 ―――



 俺は今、宇宙人ロウに追いかけられている。


 街灯に照らされた人気ひとけのない夜道を1人で走っている。


 ちょうど、親友との走馬灯が駆け巡り、ツッコミを入れていた。


 俺の事を連れ去って実験でもするんだろうか。


 絶対に嫌だ。



 だが、プチっと嫌な音と共に肩を掴まれる。




 最後に。宇宙人ロウの言葉を聞いて、俺の意識は途絶えた。










「実は僕、人間じゃないんだ。」








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「もう知ってるよ。そんな事。」 オレンジ @Orangers

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