欲望の函が開いたそのあとは

　独特の薄暗い雰囲気が、淡々としているようなねっとりとしているような。不気味なのに目が離せない、妖艶な文章で綴られる物語。
　どことなく不穏が横たわっていて、何か起こりそう、何かあるというようなじわりじわりと予感だけが迫って来て、人の欲の滲み出す薄暗い世界で、赤い襦袢の色だけが鮮やかに記憶に残って来る感じ。

　これは逃げられない。
　ただひたすら、そう思わせる展開。
　函を閉じても、もう遅い。
　
　じわっと追い詰められていく感覚のホラー短編でした！