佐藤 蒼(さとう あおい)
「えーと、皆さんが静かになるまで3分かかりました」
御定番のセリフを口にして、その日はまず、体育館に集まり校長先生や教頭、その他の教職員たちが学校の説明会を始めた。
毎年行われるであろうこの説明会は個人的には退屈で仕方がないことであった。この体育館の中に全校生徒が300人ほどいるが話を聞いている生徒は半数も満たないと思う。
私の隣にいるあの男がまさにその代表例だ。
「ふぁぁぁ……」口をふさぎながら堂々とあくびをしている。
ちょうどその男子生徒は今日の朝桜の木の下で見かけたお方だった。
「眠そうだね」私は小言で話しかけた。
「君は……朝教室で会ったね」
突然話しかけたのか驚いた表情だったが、今日の朝話かけた私だと分かり自己紹介を始めた。
「俺の名前は、
「私は
私は今日の朝の御札の件を聞きたかったが、もしかしたら秘密ごとで親しい中でないと話してもらえない可能性があると思い、まずはとりとめのない会話から距離を詰めることにした。
「あの……君ってお宅とか中二病だったりする?」
やっぱり今朝のことが気になり過ぎて変な質問をしてしまった。
この間まで中学時代だった彼は、もしかしたらそのようなアニメやラノベに影響されてこじらせている可能性がなくはないだろう。質問はあくまで彼にまともな高校生活を送ってもらえて、黒歴史を作り出さないようにと配慮も入れた質問である。
「違うけど」
突然の変な質問に彼は首をひねりながら答えた。
「お札つくりとか、あっ……」徐々に段階を踏んでから聞こうとしていたことを話してしまった。
「まさか今朝の見てた?」
「うん……あれはなんなの」
私の返事を聞いて、彼は渋い顔をして悩んでいたが、小声で「ここでは話せない、あとで説明する」と話しかけてきた。
多分あの儀式に関して何かしらのおきてがあり、公に明かせない理由があるのろう。私は気になりながら残りの説明会の時間を過ごした。
夢幻闇影 夜猫ミント @mintson
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