第11話 お魚センター
◇
箱根の温泉テーマパークを目指すあたしたちは、字光式の土浦ナンバーを装着した、シャコタン&鬼キャン仕様のプリウスを安全運転で走らせていれば、警察官にナンパされまくったのは言うまでもない。
ようやくたどり着いた早川港で一休み。
このまま箱根峠を流していたらきっと、目的地に到着した頃には疲れ果て、おまけに空腹で不機嫌になったことに違いない。
結果として早川港で市場飯を食べる計画を立てたことで、充実した早めのランチを満喫し、それはとても素晴らしい気分で峠を越えられるのかもな。
ランチを満喫するちょっとその前に、ぶらりとお魚センターへと立ち寄れば、好奇心の塊であるウィラがおおはしゃぎ。
「ナギナギナギ! 見てみぃ? なんやこれ、鯖と鰹のミックスか?」
「初めてみる魚っすね。姐さん、これなんていう魚っすか?」
「ああ、ソウダガツオか、メジカとも言うらしいな。マルソウダか、ヒラソウダか、あたしにはわからないけどな」
ウィラの好奇心をくすぐる魚は、発泡スチロールの中に氷塩水と共に入れられた、ソウダガツオに興味をそそられているご様子だ。
あたしも生で見るのは始めてだし、実物は本当に小さい鯖と鰹のミックスそのもの。
鮮度落ちがとても早く、スーパーや普通の魚屋さんではあまり見ることなんてない。
その証拠に漁獲後、すぐ血抜き処理のために首を折られたのか、氷塩水は赤く染まっていたが、ウィラは気持ち悪がらずに興味が勝っているのか、あたしになにか期待しているかのような輝かしい眼差しを向けていた。
「会長、さっきの話を忘れたんっすか? 姐さんが普段から包丁持ち歩いていたら事件っすよ?」
「おい小幡、お前はあたしをなんだと思っているんだ?」
「おまけに図体がめっちゃデカくてべっぴんさんやからな……せやけどナギ、最近先生とうまく行かへんからって、包丁持ち出したらあかんで?」
「おい、なんであたしが包丁を持ち歩いている前提で話が進んでいるんだよ!?」
「「「HAHAHA!」」」
全く、ガタイの良い高身長女子(191cm、175cm、166cm)たちが、姦しく盛り上がっていれば、誰も近寄ってすらこないもので、これ以上迷惑をかけるのもあれだし、少しは静かにしようか?
「そらナギ、あんた料理人でもやっていけそうやから、そらありえん話でもあらへんやろ?」
「姐さん居合もやってるっすから、ワンチャンポン刀持ってても違和感ないっす」
「おい、あたしは室町時代からタイムスリップでもしてきたのか? 他のお客さんの邪魔になるから、そろそろ行こうぜ」
「せやな、ソウダガツオはまた今度やな」
「そうっすね、私もお腹減ってきたっす」
女子高生三人、お魚センターを楽しんだ次は、気になる小田原の地魚を味わうべく、漁港飯を食べに行こうか───。
◇
無敵のJKたちは、'箱'根の温泉テーマパークを目指すようです【KAC20243 参加作品】 あらフォウかもんべいべ@IRIAM配信者 @around40came-on-babe
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。無敵のJKたちは、'箱'根の温泉テーマパークを目指すようです【KAC20243 参加作品】の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます