八個の発酵した箱が発光して薄幸の美少女が函館で八項目の波高の波状攻撃~だが運んだハー子は壊れない~
芳乃 玖志
タイトルに隠された12のHAKO
家のどこからか変わった匂いがするので、気になった
「うわっ、なにこれ汚い」
まるで腐っているような匂いのその箱は全部で八個あった。
「≪HAKO≫って、中身なんなんだろう……でもこの匂いじゃどうせ腐ってるよね」
ちなみに、発酵と腐敗は現象としては同じものだ。ただ、人にとって有益なものを発行と呼び、有害なものを腐敗と呼んでいるだけの違いだ。
「そう考えると、この箱ももしかして腐ってるんじゃなくて発酵してるだけかも……よし、開けてみるか」
葉子はチャレンジャブルな少女だった。
そうして一番手前にあった箱を開けてみると、なんと他の七個の箱まで同時に発光を始めた!
「きゃあっ!」
光が収まると、葉子は函館の海岸にいた。
ちなみになぜ函館だと分かったかと言うと、デカデカと『ここは函館』と書かれた看板があったからだ。
「な、なんで私がこんなところに?」
ここで豆知識だが、波の高さは波浪によって『おだやか』から『おおしけ』までの七段階に分けられるということをご存じだろうか。
だが、今葉子の眼前に迫っているのは、それらの段階のどれにも属さない
「なっ!!まるで命を刈り取るような形の高波!!しかもそれが連続でいくつも……文字通りの波状攻撃という事ね!!」
などと言っている間に、葉子は一瞬でジャイアントデスウェーブに飲み込まれてしまった。
あぁ、哀れな葉子。薄幸の美少女は短編では命が儚くも散ってしまう定めなのでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。捨てる神あれば拾う神あり。ここに彼女のことを諦めない者が居た!
「そこの美少女!待っていろ、今助ける!!」
そいつは高波の中に勢いよく飛び込むと、そのまま流されていった!!
一方、葉子は波にのまれた瞬間に再び箱が発光した事で家に帰っていたのだった。
「い、今の体験はなんだったのかしら……まぁいいか、忘れよう」
葉子のメンタルは頑丈だった。さながら折れず曲がらず傷つかない、頑丈なダイヤモンドのように。
「あら、気が付けば箱が全部なくなっている……?匂いももうしないし、なんだったのかしらね」
だが、あの箱の引き起こす怪奇現象がこれで終わりとは限らない。第二再三の、いやさ第八の箱の恐怖はいつでもあなたのすぐ隣に腰かけている。
あなたの前にも発酵した箱が現れる日はすぐそこかも、しれない……。
HAPPY END!!
八個の発酵した箱が発光して薄幸の美少女が函館で八項目の波高の波状攻撃~だが運んだハー子は壊れない~ 芳乃 玖志 @yoshinokushi
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