第39話 尾行者の正体

「ね、ねえ姉様もしかして気づかれたんじゃ…」


「分かっていますよサリー、そう怯えづとも少年が街中で戦う気はありません。あなたもアリス様を守り、身の回りの世話をするメイドであるなら、もっと自信を持ちなさい」


 気づいている人は気づいているだろうが、前回アランが尾行していると言っていた尾行者の正体はアリス・ワイズンの専属メイドなのであった

 怯えているメイドはサリーという名で短剣使いである。手数の多さで敵を仕留めることを得意としている。

 冷静にアランの考えを読むメイドはメアリーという名で武器は使わず己の拳で戦うのを得意とするが、それは型はなく構えもただ拳を握っているだけのもの、だたひたすらに殴る蹴るしかできないが瞬発力が高く見たものは全員「人間とは思えない」としか言えない。サリーとメアリーは双子で、姉であるメアリーが専属メイドである。


「ね、ねねねね姉様。い今あ、あの子と目があったの、そしたら…少しでも近づいたら殺すと、でも言ってるような殺気を放ってきたの」


 いつものように怯える妹を可愛いと思いながら呆れるが内心はもっとその可愛い姿を見たいと思っている


「大丈夫ですよ、少年は私たちと戦う気はないと言ったでしょう」


 尾行が気づかれた以上、事前にアリス様に言われていた通り私たちは屋敷に戻って普段通り仕事をするしかないですね


「帰りますよサリー」


「はい、姉様」


 〇


 尾行者の気配が消えた。一体何だったんだ?


「ここですよ。屋敷まで送って下さりありがとうございます」


 正直に言おう。この屋敷デカい以外にもいたるとこにトラップまで仕掛けられている。


「よければお茶でもいかかでしょうか?」


「遠慮させてもらうよ、最近王都に来たばっかりの平民が公爵家の屋敷に入ったなんて知られれば学園の貴族生徒から何をされるかわかんないからな」


 アリスはアランが寮へ帰る背中を見送った


「メアリーから見てアランさんをどう思いなられたのか聞いてもよろしいでしくて」


「はい、率直に申し上げますと…あの少年は学園でも五本の指に入るほどの実力者だと思います」


「つまり、アランさんではキマイラを倒せないと」


「通常のキマイラならともかく、今回のキマイラは異常だという情報があります」


「具体的にどのような異常が?」


 メアリーは説明する前にコホンといいキマイラの異常を話し始める。ちなみにアリスは毎回コホンというメアリーがめっちゃ可愛いのでたまに「コホンといって」と、お願いしているのはまた別のお話


「通常のキマイラはレオーンの頭とヤギの胴体、蛇の尻尾を持ち、口から火を吐き、

人を食い殺す茶色の体の魔物ですが、今回のキマイラは体が白いのです」


「白いことだけではないのでしょう?」


「アリス様の考え通り白いだけではなく、口から吐く火は青く鉄の鎧を溶かし、白い体には刃を通さず、触れると体が溶ける強い毒を持つ竜の尻尾を持っているということです」


 メアリーが淡々と特徴を話す最中、アリスは冷汗をかいていた。

 もっと冒険者を雇っておくべきだったわね、今からでも遅くはない…だけどキマイラは危険度が高い魔物、高ランクの冒険者でないかぎり戦うどころか依頼を受けることすらできない、こんなときお姉さまなら…


「今すぐにでも雇う冒険者を増やします」


「なりません」


 アリスはメアリーが止めることは分かっていたが、動かざるおえなかった。だが

アリスは、お姉さまらともう一度考える。


「このままでは王国が…」


「アリス様、予知夢は三年間ずっと外しているので心配いらないと思いますが」


「当たってるもん!部分的にだけど…」


 アリスには予知夢がある。しかし三年前は100%的中していたのだが、ある日突然部分的にしか当たらなくなったのだ。といっても予知夢を信じているのはメアリーと親友だけなので予知夢を見ても何かできるわけではない


「アラン様に予知夢を話さなくてよかったのですか?」


「きっと話しても信じないわ、私がアランさんの立場なら信じませんから」


 本当は信じてほしい、一緒に王国が滅びる予知に立ち向かってほしい…


「アリス様の予知夢が今度こそ当たるならキマイラよりカオス教団を早急に始末するべきです」


「いいえ、カオス教団はお姉さまに任せています。今はネメシャの獅子を討伐することが最優先です」

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異世界に転生してくれるからチート能力がもらえると思ったけど無かったので、前世から憧れていた魔法使いになりました! 石 崎 @mX2000

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