萩市立地球防衛軍☆KAC2024その③【箱編】

暗黒星雲

第1話 モノリス・キューブ

 私は太古より存在している。


 光を反射しない。

 故に黒い。


 私の表面は滑らかで一辺が30センチの直方体である。


 私は非常に硬い。

 どんな物質を衝突させても砕けないし傷つかない。


 私の役目は生命を進化させる事だ。


 時にはゆっくりと。

 時には劇的に。

 時には大きな災厄をもたらす。


 生命の進化を促すためには多くの種を滅ぼす方が効率が良い。


 ペルム紀末の大量絶滅。

 古生代から中生代へ生物相が激変した。

 この時、三葉虫を始め多くの海生生物が絶滅した。


 その原因となったスーパーブルームを呼び込んだのは私だ。


 白亜紀末の大量絶滅。

 これにより殆どの恐竜が滅んだ。他の生物も大量に絶滅した。その原因となった小惑星を招き入れたのは私だ。


 私はその外見からモノリスやキューブと呼ばれる。しかし、私の本質としてふさわしいのは、かの預言者の残した言葉であろう。


 それは〝恐怖の大王〟だ。


 地上に蔓延る人類よ。

 私の前にひれ伏すがよい。


 私はこの大宇宙の意思を顕現するもの。

 お前たちの未来は私の手の内にある。


「等と意味不明な事を言ってます」

「そうね、ララさん。宇宙には様々な生命体が存在しますが……鉱物系で幾何学的な形状は特に珍しいかも?」

「珍しいからこそ、はったりが通用する?」

「そうね。言ってる内容はウィキペディアの丸パクリでしょ」

「ところで、これ、どうしますか? 日本海溝に沈めるとか? 太陽に放り込むのは?」


 何だと。

 造物主にも等しい私を処分するだと?


「うーん。放置かな。面白いから好きなだけ喋らせてあげます」

「処分されたくなければ面白い話をしろよ」


 地球防衛軍本部の地下で見つかった不審な物質の正体は、裏宇宙から来た鉱物系生命体だった。彼はその特異な存在を生かし、知的生命体の信仰対象となる事を活動の目的としていたのだが、その本質をミサキ総司令に看破された。そして、防衛軍地下において〝喋るモノリス〟として長く設置された。もちろん、総司令の暇つぶしの相手である。

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