ある男の想い

磧沙木 希信

ある男の想い

 私はダンボール箱が好きだ。いや、愛している、と言っても良いかもしれない。


 実際のところ、よく被っている。


 なぜだか、ダンボール箱を見ていたると無性に被りたくなってくるんだ。


 初めて見た時は何て言うか、その……そう! 運命を感じたんだ。


 ……いや少し違うな。被らなければならないという使命感を感じた、           と言った方が良いだろう。


 ふー、そうだな、一つ、ダンボール箱の素晴らしさについての話しをしよう。


 お前らが敵地に侵入した時、監視カメラがあったのならどうする?


 勿論、スニーキングミッションだ。


 さぁ、どうする?


 サプレッサー付きの銃で破壊する? 監視カメラの動きに注意する?               匍匐前進をする?


 違う! まったく違うな! そうじゃないだろ!


 そんな時こそ、この”ダンボール箱”の出番だろ!


 こいつを被れば、監視カメラを無効化する事が出来る。


 ん? それはおかしい? そもそも、そんな状況は無い?


 はぁ~、しょうがねえな。もう一つ、話しをしようじゃねえか。


 もしも、もしもだ。お前らが敵地に侵入した時、敵に見つかりそうな時どうする?


 勿論、スニーキングミッションだ。


 さぁ、どうする?


 見つかる前に敵の兵士を気絶させる? ロッカーに隠れる?           エリアを切り替える?


 違う! まったく違うな! そうじゃないだろ!


 そんな時こそ、この”ダンボール箱”の出番だろ!


 見つかりそうになっても、ダンボール箱で隠れれば見つからない。


 最近は”まし”になったが、あいつらは、はっきり言ってアホだ。


 表面に美少女の絵を書けば、油断して近づいて来る。


 近づいて来たところを、箱から飛び出してからの奇襲をかければいい。


 そうすれば、敵の兵士を簡単に気絶させる事が出来るだろう。


 ああ、なんて最高なんだ! ダンボール箱。


 コレクションも大分増えてきたな。


 ……そうか、時が流れるのは早いもんだな。


 もう付き合いは、三十年近くなるのか。


 ……そろそろ次の任務の時間だな。行くとしよう。


 ここまで聞いてくれて、ありがとう!


 いいセンスだ。




 メタルギアソリッドシリーズ 全ての蛇より

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