第三十話:戦闘部隊ブックメン

 試験も終盤に差し掛かっていた。

 一つ一つは短いが、難易度が高すぎた。


 特にユベラの結界は、よほどの魔力がなければ破壊不可能だろう。


 数千人いた兵士も、今や数十人ほどになっている。


 最終試験に向けて、王城内の控室で待っていると、大勢の屈強な男女が叫んでいた。


「おっしゃあ、誰でもかかってこい! ああでも、……あの本の人は……」

「だな。絶対勝つぜ。ダリス伍長以外で……」

「ふふふ、私が一番になるよ。本はちょっと怖いけど」


 どうやら俺の噂が既に広まっている。

 今までは目立たない本好きやろうが、恐怖の本好きやろうに大昇格だ。


 いや、これ下降しているか?


 それから1人、また1人と呼ばれて消えていく。


 一体何が起きてるのだろうか。


 拷問テスト、とかされていないだろうか?


 不安でいっぱいになりながらも、控室で椅子に座ってボォっとしながら、今までの事を振り返っていた。


 色々あったなあと頭で描くも、大体はブックで一撃だ。


 とはいえ、どれも思い出すとエヴィアンがいた。


 ……これからもそうなるといいな。


 そのとき、ガチャリと扉が開いた。

 次は俺の番だと思っていたら、現れたのはエヴィアンだ。


「お待たせしました。どうぞそのままで結構ですよ。誰もいないので、口調も砕けてもらって結構です」

「そうか。で、次の試験は何だ?」

「ふふふ、少しお話しませんか」


 よくわからないが、それは今に限ったことじゃない。

 ゆったりと歩いて、彼女は目の前の椅子に座った。


 少し微笑んだあと、今までの話をした。


 俺がちょうど考えていた出会った時の話だ。


「思えばあれから少し経ちましたね」

「そうだな。だがこれからだ。世界統一もまだまだ先だろう」

「ですねえ。それでダリスさん、本当に良いのですか?」

「良い? 何がだ?」

「敵国との闘いは熾烈を極めます。誰かを殺めることになるかもしれません。という意味ですよ」


 確かに俺は人を傷つけるのが嫌いだ。

 けれども、愛すべき人、守りたい人、守ってあげなきゃいけない人が傷つけられる姿は、見たくない。


「覚悟はできてるよ」

「……ありがとうございます。では、こちらに」


 一体何の時間だったのかわからないが、外に出ると、中庭に案内された。

 何が待っているのやらと思っていたが、そこには先ほどの兵士を含む、大勢の一般兵士が立っている。


 俺は、エヴィアンに後を追うようにしていたが、手でここに立ってくださいと言われて、同じく数人の兵士と並ぶ。

 確か、ユベラの結界を見事に破壊していた奴らだ。


「皆様、数多くの試験、お疲れ様でした。次の戦いは、アントラーズ史上最も過酷なものとなります。ですが、彼らの強さは国の中でも最高位です。階級を超えた軍団を設立し、戦闘部隊を立ち上げます。そしてここに並んでいる彼、彼女らが部隊を統一するリーダーとなります。これから至らぬところもあると思いますが、どうか寛大なお心でよろしくお願いします」


 ……え? あ、さっきのが最終試験だった……ってことか!?


 他の奴らは満足げだった。

 俺と違って肝が据わっているのだろう。


 ユベラ、ケアル、徒労も横に並んでいた。

 俺なんかがここにいたら……と思っていたら――。


「うおおおおおお、俺絶対ダリス伍長の部隊がいいぜ」

「俺もだ。ブック最高!」

「絶対勝とうな。ダリス伍長みたいに俺も成り上がるんだ」


 色々な声に交じって、俺を称賛する声がよく聞こえた。

 ああそうか、認めてくれたのか。


 なら、応えなきゃな。


 影のブックマンはもう終わりだ。


 表のブックマンを見せてやるぜ。


「では、明日から特殊な訓練を始めます。非常に辛いですが、皆さん頑張りましょうね」


 するとそのとき、エヴィアンが恐ろしいほど満面の笑みで言った。

 俺は知っている。彼女が辛い、なんていうのはヤバイってことを。


 うーん、やっぱりもう少しだけ、のんびりブックしたいかも


――――――――――――――――――――――

 あとがき。

 のんびりブック(/・ω・)/

 

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強さをひた隠しにしていた雑務書記の俺、魔法本 (物理防御貫通 魔法防御貫通 攻撃力∞鈍器)で戦っているところを女帝にバレた結果、秘書兼護衛に栄達した。 菊池 快晴@書籍化進行中 @Sanadakaisei

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