もう一度

待ちに待った当日。久しぶりに会う彼女は、前にもまして綺麗だった。

「久しぶり、唯。」

「うん、久しぶりだね。」

こんなきれいな女性を前にして、自分の身なりを恥ずかしく思う。

「本当にごめんなさい。」

彼女は突然頭を下げる。店の中でそんな深々と頭を下げられたら、びっくりしてしまうではないか。

「いや、どうしたの、落ち着いて。」

彼女の話をまとめるとこうだ。高校生の頃、私と忍を巻き込んだあの一軍グループとは、最近まで仲良くしていたらしいが、ある日忍のいないところで高校を懐かしむような話をしていたらしい。その中に、私と忍を不仲にするような話があったらしい。それを聞いた忍の友人がそれを教えてくれたと。そして、私に謝りたくてすぐに連絡をしたと言う。

「知ってたよ、でもどうにかできることじゃなかったし。忍は悪くないじゃん。」

「ごめんなさい、本当にごめんなさい。」

忍は目をこすりながら涙をこぼしていた。せっかくのきれいなメイクが崩れてしまう。

「泣かないでよ、どうして良いかわからないじゃん。」

困ってしまって、どうしようものか、なんて周りを見渡すと、カフェのメニュー表が目に入る。

「ほら、なんか頼もうよ。」

忍は止まらない涙を拭いながら、メニュー表を受け取ると、ショートケーキ、と呟き微笑む。

 その後、私の近況を彼女に伝えると、あまりにも深刻そうな顔をするものだから慌てて訂正をするも、彼女はその顔をやめてくれなかった。

「焦らなくていいよ、ねえ、ゆっくり頑張ればいいじゃん。」

彼女の言葉に、涙が零れそうになる。私がずっと欲しかった言葉、大好きな彼女。灰色だった渡しのじんせいに、少し色がついたような気がした。

「うん、そうだよね。」

微笑む彼女と目が合う。

「ね、タルト一口頂戴。」

今日は家に帰ったら日記にこのことを書こう。たまには嬉しかったこと書いたって誰も怒るまい。きっと、この気持ちを文字に起こせる日が来たら、私は彼女に。

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文字に起こせば ねみ @nemi_kawaE

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