出逢い

ミャオは、エノコロ町の中心部から少し外れた草原に囲まれた小さな一軒家に住む10歳の女の子です。ブラウンの毛並みをいつも三つ編みにして、ふわふわと野原を駆け回る姿を近所の人達が微笑ましく見守っています。瞳はまだなんの汚れもない透き通ったカッパー色をしていて、特別美人というわけでもないけれど、その純粋な瞳と風貌は見る人を惹きつけるものがありました。


ミャオは学校でも勉強ができて、お菓子作りが得意な子としてとても人気者でした。ただ、ひとつ、女の子には理解されない趣味を一つ持っていました。ミャオは「ドラゴン」が大好きなのです。たまにミャオは自分の世界に入り込み、友達にドラゴンについて熱心に語ることがありました。友達は、聞いてるのか聞いてないのか、しかしまだ10歳でしたからさほど気にすることもなく「まったくミャオったら、ドラゴンのことになると熱くなるんだかれ」と笑われていました。


ミャオはその日、いつも通り学校の休日に野原でバスケットに少しのおやつとお気に入りのドラゴンのぬいぐるみを入れて、出かけました。


その日はシロツメクサが満開で、ミャオはそのシロツメクサを使い、器用にぬいぐるみに花冠を作ってあげました。ぬいぐるみも、こころなしか嬉しそうです。ドラゴンのぬいぐるみは首が長く、牙もあって、ツメもある、普通の女の子なら欲しがらないようなものでしたがミャオはそれを大事に大事にリボンまでつけてかわいがっているのです。

両親も、ミャオのドラゴン好きには完敗してこのぬいぐるみを買ってあげたくらいですから、ミャオの部屋はドラゴンの図鑑やぬいぐるみでいっぱいです。目覚まし時計だってドラゴンの形をしていて、時間になるとリアルなドラゴンの鳴き声が鳴るのです。


さて、ミャオはドラゴンのぬいぐるみに花冠を作ると今度はお母さんへ贈る花冠を作りました。そして、そろそろおうちへ帰ろうと思った途端、突然ザワザワとした変な風が吹き荒れたのです。ミャオは何が起こってるのわからないまま、あたりをキョロキョロ見回しました。そうすると、今度は草原がキラキラと輝きながら波打ちました。そして今度は空がすっかり金色に光ったと思えば、すぐにパッと素の夕空の色に戻りました。


ミャオは一瞬、自分の目が見えなくなったのではないかと驚きました。

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ミャオとミモザ その @sonopero

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